エルザvsバッカス
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あぁ。そうだ』
バッカスは規定のラインを踏むほど敵に寄っているのに対し、エルザはラインに爪先がギリギリかかるほどの位置。これが意味することをわかっているものとわかっていないもので会場の反応は別れていた。
「どういうこと?」
「エルザは先制を狙ってないってことじゃね?」
「でもなんで?」
前のめり気味なバッカスに対し受け身と思われるエルザ。実況席の見解を二人は述べる。
『エルザの換装速度はトップクラスだ。この距離でもそれができるほどに』
『つまりバッカスくんにギリギリまで鎧の情報を与えず、できることなら彼の動きに対応できるものを選ぶはず』
『もちろん換装中に受ければ一溜りもないが、そんなこと微塵も考えてないんだろうな』
両者共に得意分野を最大限に生かすことを考えているこの戦い。彼らの戦いを一番楽しみにしていたであろうマトーくんはドキドキしながら試合開始の合図をかける。
「それでは・・・始めカボ!!」
その合図と共に両者は予想通りの動きを見せた。
「換装!!」
一人は換装をし敵の攻撃へと備え、
「酔・劈掛掌!!」
一人はその圧倒的なスピードを用いて敵へと突っ込む。
「ハッハァ!!」
その結果、緋色の髪の女性の肉体に無数の痣が一瞬で浮き上がっていた。
「速ぇ!!」
「マジかよ!!」
ほとんどのものが視認できないほどのスピードで数発もの平手を撃ち込んだバッカス。これにはエルザの仲間であるグレイとガジルも目を疑わざるを得なかった。
「エルザ!!」
「まさか・・・」
「そんなわけ・・・」
それは別チームの女性たちも同様で、思わず口元を抑えしまう。
「どうだ?エルザ。俺の酔・劈掛掌は」
勝利を確信し背を向けたまま問いかけるバッカス。だがその直後、彼の顔色が一瞬で変わった。
「相変わらずすごいな、お前は。だが・・・」
痣だらけの理由。それは彼女が換装した鎧に理由があった。上半身はさらしに下半身は赤い袴。見るからに防御力のないそれであったが、その手に握られる深紅の剣からは赤いものが滴り落ちている。
「私はもっと強い」
「ぐはっ」
凄まじい音を立てて倒れるバッカス。これを見ていたすべての者が何が起きたのかわからず唖然とし、静寂した時間が流れる。そこはまるで時が止まっているかのように感じられた。
『・・・しょ・・・勝負あり!!勝者!!妖精の尻尾・エルザ・スカーレット!!』
連撃を得意とするバッカスと一撃必殺を持つエルザ。互いに最も得意なものを繰り出したライバル対決は絶対的な女王へと軍配が上がった。
「やはり強いな、姐さんは」
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