第二章「クルセイド編」
閑話「コラボwith銀の守護騎士」その一
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そう言ってクローゼは泣き出してしまった。エレギオはハンカチを黙って差し出してやるとクローゼは礼も言わずに受け取る。マナー違反と言えばマナー違反だがこの際そんな事には眼を瞑るべきだろう。彼女は直ぐに泣き止んだがそれでも眼は赤く充血していて間抜けな…本当に間抜けな事にエレギオは漸くこの少女が軍でも遊撃士でもなく自分を頼ってきてくれたのだと知った。
実力はどうあれ、エレギオはそれ程名が知れている方ではない。彼女がエレギオ・ツァーライトと言う名を知ったのも唯の偶然だろう。
エレギオには一つの切り札がある。『天上眼』、例えどんな穏行だろうと幻術だろうと破る事ができるゼムリア大陸最強の探知能力。何に由来するかは知らないがどんな暗闇も照らし出す真実の双眸。ケイジの能力がどんな物かは知らないが確かにエレギオなら見つけ出す事ができるだろう。
だが、逆に言えば見つけてやることしかできない。
真っ向勝負になればケイジ・ルーンヴァルトに勝てる気なんか微塵もしないし、遊撃士や軍のように人員が豊富な訳でもない。少なくともケイジと言う知り合いがいる以上軍にかなりの伝手もあるだろうに、クーデター事件に関わっていたのなら遊撃士の知り合いがいるかもしれないのに。
なのにエレギオ・ツァーライトと言うしがない一介の傭兵を頼ったのだ。
「……………ガラにも無く燃えてくるじゃねえの」
それはエレギオをやる気にさせるのには充分すぎる話だった。だって、言ってしまえば、それはこのクローゼと言う少女にそれだけ評価されたと言う事だから。今初めてエレギオはこの依頼を受けてよかったと心の底から思った。勿論同じくらいケイジ・ルーンヴァルトを恐れてはいたが。
心の半分の不安を消し飛ばすようにエレギオは笑った。
「エレギオさん?」
どうやら少しばかり突然笑い出したエレギオの事を少しばかり不審に思ったらしい。
エレギオは立てかけてあった大型の銃剣『ドラゴンソウル』を担いだ。
「じゃあ早速お仕事を始めるとしようか。よろしく依頼人」
「は、ハイ……ってえ!?私も仕事する側なんですか!?」
ここに真理を見抜く眼の男と
白き隼の姫君の
正史ではありえないコンビが結成された。
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