第二章「クルセイド編」
閑話「コラボwith銀の守護騎士」その一
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もカンカンと活発に人を照らしてくれるらしい。吸血鬼ではないが、それでも日に焼けるのが大嫌いなエレギオにとって日光は天敵である。かと言って日傘を持っているような女々しい男でもない。
結論として外に出る気力を粉砕された。
総じてエレギオ・ツァーライトの心情を表すなら。
「…………めんどくせえ」
この一言に集約されるのだろう。
−−−−−−−−
怠惰。
辞書にはその意味として「すべき事を怠けて、だらしがないこと」とある。
エレギオはその意味はともかくとして実に良くできている言葉だと思った。
『怠』で怠ける事を表して『惰』でだらしなさを表している。醜くも実に調和が取れているではないか、と。
「………って何で俺は言葉の勉強なんかしてんだよ」
エレギオは勉強が嫌いだ。そんなこと誰だってそうなのだが、それでもあれから三時間がたって未だ尚一人の依頼人も訪れないどころか通りかかる事すらしない。ここまでくるといっそ何かに呪われているんじゃないかとさえ思ってしまう。そして勿論外出する気にもなっていない。
そんななか暇を持て余して
「思いがけず眼に入った辞書を手に取りましたと、さ」
自分で言って苦笑した。余りにキャラじゃない、こうもう少し不良的なキャラだった筈だと自分であれこれ思案し出す。とりあえずそれに従って辞書を放り投げて、800ミラをドブに捨てた気分になった。ソファーからは立ち上がらないでどうにか拾おうとする。足を伸ばして指先で引き寄せようとしたり届かない手を伸ばしたり……無駄な努力一分の果てに僅か五秒で立ち上がって回収した。
「………何で俺は最初っからこうやって立ち上がって取ろうとしなかったんだろうな」
一度ソファーに寝転んだら中々立ち上がれないのが人間である。そのことを理解するエレギオはその誘惑を断ち切って仕事の受付に腰をおろした。……座った所で、誰も依頼しになんかこねえよと内心で自虐しながら。
頬杖を付きながら眼を瞑る。
再び開いた時にはエメラルドのような緑色に染まっていた。
「ま、どうせ意味無いんだけどな」
その眼を通してエレギオは真実を見る。街を行く人々、その人数、性別、服装、体格、年齢……様々な情報が脳に伝達される。そしてその足が何処に向かっているかさえも。
「……………………………ってアレ?」
その中から約一名、こちらに向かって歩いてくる。
「え、え、え」
驚きでそれしか言えなくなっている中、確かにその足取りはこの事務所に向かって伸びていた。
「え、え、え、え、え、え」
その足は事務所まで来て、それと同時にドアが開いた。
「あの……エレギオ・ツァーライトと言う方はいらっしゃらないでしょうか?」
おずおずとしながら、青い髪の少女が
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