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非日常なスクールライフ〜ようこそ魔術部へ〜
第130話『なりたい自分』
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、お母さん、また後で!」

「っ! あ、あぁ」


緋翼の言葉で晴登と狐太郎は仕事をほっぽり出して出てきてしまったことを思い出し、急いで魔術室を出て行く。
その時何気なく狐太郎が言った「また後で」という言葉に、狐太郎の両親は涙を浮かべながら笑顔で応えた。






晴登や狐太郎が部室を出た後のこと。
狐太郎の両親を見送ってから、緋翼は部室を扉の鍵を閉める。


「先輩に尻拭いをさせるなんて、随分と生意気になったものね」

「全くだな」

「あんたは人のこと言えないでしょ」

「はて、何のことやら」


部室の前に残った2人は、いつもの調子でやり取りをする。クラスが異なり、魔術部を引退した今、会う機会は減ってしまったが、こうして話しているとあの頃に戻った気分になる。


「それにしても、まさかこんなドラマみたいな展開に巻き込まれるなんてね」

「誰かさんがここを待ち合わせ場所にするからだろ」

「だってわかりやすくていいじゃない。それに、人助けができたんだから気分は良いわ」

「お前何もしてないじゃん」

「うるさいわね! 細かいことはいいの!」


そもそも緋翼と終夜がなぜ魔術室にいたのかという理由についてだが、実は文化祭を一緒に回るためにちょうどこの時間にこの場所で待ち合わせをしていたからである。ちなみに誘ったのは緋翼の方からだ。


「てか、何でわざわざ俺誘ったの? お前友達いなかったっけ?」

「一言余計よ! 私が誰と文化祭回ろうが勝手でしょ!」

「だからその相手が俺なことに疑問を抱いてるんだが──はいはい、わかりましたよ。もう訊かないからそんなに睨むなって」

「わかればよろしい」


これ以上ちょっかいをかけて機嫌を損ねる方が厄介だと気づいた終夜は、大人しく緋翼の隣を歩くことにした。


「ほら行くわよ、黒木」

「へいへい」


そうして笑顔の緋翼と少し呆れ顔の終夜は魔術室を後にしたのだった。
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