第130話『なりたい自分』
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両親や先輩の前でこの格好をしていることにようやく羞恥心を覚える。
「い、今はその話は置いといて下さい! それより、これの使い方教えてくれませんか?」
「あ〜魔力測定器のこと? ごめん、そういうのは黒木に任せてたから私にはわかんないわ」
「そ、そうですか……」
タイミングこそ最高だったが、緋翼の力が及ばないと知り、がっくりと肩を落とす。
その様子を見かねた緋翼がすかさずフォローに入る。
「ごめんって、そんなに露骨にがっかりしないでよ。ところでこの人たちは? というか、君は確か運動会で会ったよね?」
「そ、その節はどうも……!」
緋翼を見て、狐太郎は背筋を正して頭を下げた。
ただの知り合いにしては、やけに畏まっているようだが、一体どんな交流をしたのだろうか。気になるから後で訊いてみよう。
「それで、何だって文化祭の真っ最中に魔力測定器を使おうと? 只事じゃなさそうだけど」
「それは私から説明を。実は──」
緋翼の質問に対して、狐太郎の父親がこれまでの一連の流れを緋翼に説明する。緋翼はその話を聞いて驚いていたが、最後には頷いて結論を出した。
「なるほど、話はわかりました」
「どうですか? 魔術の知見を持つ方の意見を聞かせてください」
「そうですね。その耳と尻尾は変だと思っていましたが、魔術と言われれば納得もいきます。大方、変身系の能力で、制御ができずに一部が外見に現れているパターンでしょう」
「そ、それじゃあこの子は……」
「十中八九、魔術の影響ですね。魔力測定器を使わないと断言はできませんが……」
緋翼の見解は晴登の考えと概ね一致している。変身系の能力は魔導祭でいくらか見てきたし、その可能性が大いに高い。
であれば、あとはこの説を裏付けるだけ。
「……俺、ちょっと黒木先輩探してきます!」
「その必要はないわよ」
「え?」
「だって、ほら」
魔力測定器を動かすために終夜を探そうとすると緋翼に止められる。
その制止に晴登が疑問符を浮かべていると、彼女は扉を指さした。するとちょうどそのタイミングで再び扉が開かれる。
「よっと。辻、いるか……って、うわ、誰だお前」
「黒木先輩!」
「その声……三浦か!? 何で女装してんだ?!」
「その件さっきやりました」
「あれ、何か冷たくない?」
今度こそ正真正銘の救世主である終夜が現れた。
そして示し合わせたかのように緋翼と同じ反応をされたが、ツッコむのも面倒なので話を進めさせてもらう。
「えっと、これはかくかくしかじかで……」
「まぁつまるところ関係者って訳か? じゃ
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