第一章
[2]次話
中日暗黒時代
名古屋在住の八十五歳の老人杉下博満はこの時喫茶店にいた、そして若い店員に「スポーツ新聞を読みつつ朝から愚痴っていた。
「いや、あまりにもな」
「昨日の試合はですか」
「酷いだろ」
こう言うのだった、そのすっかり薄くなった白髪頭を撫でて。皺だらけの面長の顔で背は一六六位で痩せている。背筋はしっかりしている。
「あんまりにも」
「十八点取られてでしたね」
「しかもな」
杉下はさらに言った。
「九回一人でだよ」
「十点取られましたね」
「近藤がな」
「あの、何かです」
店員は杉下に話した。朝学校も仕事もある時間で今店の中にいるのは杉下だけだ。そこでモーニングを食べてコーヒーを飲んでいる。モーニングのボリュームは名古屋のものだけあってかなりのものだ。
「ネットでもです」
「言われてるよな」
「そっちもチェックされたんですね」
「わしだってネットは観るさ」
杉下は苦い顔で述べた。
「最近はそっちの方がな」
「情報多くてすぐに出ますから」
「だからな」
それでというのだ。
「ちゃんとな」
「チェックされてますか」
「ああ、そっちでもな」
「凄い叩かれてますね」
「あのな」
難しい顔にもなって言った。
「一人十点取られるなら」
「勝ちパターンの投手使いたくなくても」
「その前にな」
そこまで失点する前にというのだ。
「交代させないとな」
「失点ばかり増えますね」
「そうなってな」
そしてというのだ。
「打たれるピッチャーもな」
「メンタルやられますね」
「実際そうなってたろ」
打たれていたピッチャーはというのだ。
「近藤な、まだ若いのにな」
「一軍に出てすぐで」
「それでな」
「あそこまで打たれるのは」
「しかもな」
杉下はさらに言った。
「打たれてる間誰も声かけなかったな」
「ベンチも動かないで」
「晒しものにしてたな」
「そうでしたね」
「あんなことしたらな」
それこそというのだ。
「もうな」
「駄目ですね」
「選手は人間だぞ」
杉下はこのことを指摘した。
「だからな」
「あんなことはですね」
「絶対にだよ」
それこそというのだ。
「したらな」
「駄目ですね」
「そうだよ、それをな」
「やっちゃいましたね」
「今のドラゴンズはな」
「そして立浪監督は」
「ああ、何で今最下位か」
中日ドラゴンズはというのだ。
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