夜戦編 蒼き女豹と仮面の狙撃手 第6話
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――仮面ライダーターボが繰り出した渾身の鉄拳により、スナイパースパルタンの鉄仮面が粉砕された頃。サラマンダーのパーツを背負って要塞内部を駆け抜けていた真凛は、地下最深部へと繋がるドアを発見していた。
「あそこね……」
そのドアの前では、深緑の特殊強化服を纏う2人の若い歩哨が、剣呑な面持ちで周囲を見渡している。彼らの手には、ドラムマガジン式の黒い専用ライフルが握られていた。そのライフルは普通の小銃と比べてかなり銃口が大きく、強化服を着た状態での使用を前提とした専用の銃火器であることが窺える。今の混乱に乗じて、要塞の奥に乗り込もうとしている侵入者――真凛のような存在を想定しての装備だろう。しかし真凛の脳裏には、引っ掛かるものがあった。
(私の動向が読まれている……? 斎藤空幻の仕業ね……)
あまりに「配置」がピンポイント過ぎるのだ。他の持ち場にいた兵士達の多くは、裸より恥ずかしい格好の侵入者や上空から来た赤い騎士の対処に駆り出されたというのに、あの2人はまるで真凛がここに来ると分かっていたかのような位置に立っている。真凛は、彼らが斎藤による差し金だと看破していた。
「しかし……クランツ曹長。本当にあの斉藤博士の言う通り、ここに例の侵入者が来るのでしょうか……? 確かにここは重要なエリアですが、島の裏手から来たという連中なら今頃、ホークアイザー少佐が始末しているでしょうし……。アイアンザック中将に万一のことが起きる前に、我々も本来の持ち場に戻るべきではありませんか?」
「ミルド軍曹、余計なことを気にするな。俺達が考えるべきなのは、この島を守り抜くこと……それだけだ。あの男は確かに胡散臭いところもあるが……俺達が斃れて奴に得があるとも思えん。罠でもない限り、使える情報は使う……それだけだ。……司令とも一向に連絡が繋がらんこの状況下で、無闇に動き回るのも得策とは言えんしな」
真凛の読み通り。クランツ曹長とミルド軍曹という2人の兵士は、斎藤から齎された情報を頼りにこのドアの警備に当たっていたのだ。彼らは斎藤に対する疑いを抱えながらも、基地の防衛という最大の任務を果たすべく、ドアの入り口前で警戒を厳にしている。そんな彼らの様子を、真凛は物陰から神妙な面持ちで観察していた。
「……見張りは2人。どうやら、素直に通らせてはくれなさそうね」
いずれにせよ、他の迂回路を探している時間は無い。ならば、やることは一つだろう。通路の陰から様子を窺っていた真凛は鋭く目を細めながら、チャイナドレスのスリットから覗く白い太腿に指先を滑らせる。
「……はぁッ!」
「がッ……!?」
そのか細い手指に握られたナイフが閃いた時、ミルド軍曹の眉間にその刃が突き立てられた。
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