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機動6課副部隊長の憂鬱な日々
第96話:父と子
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ぜそうまでして自分を偽るんだ?」

「偽ってはいないよ。ただ父さんの知ってる俺とは変ったってだけさ」

父さんの方は見ずにただまっ黒な夜空を見上げてそう答える。
そうしなければ、自分の心の中を見透かされそうな気がした。
ディレトを殺してしまったことを責め続ける自分自身のことを。

「私にはそうは見えない。お前はハンスの亡骸にすがっていたときと
 少しも変わっていないように私には見える」

父さんはそう言って俺の顔をじっと見つめる。
俺は言葉を発することもできず、ただ虚空に向かって煙を吐き出す。

「私にも一本くれないか」

父さんはそう言って俺に向かって手を伸ばす。
俺はその手に自分のタバコを一本渡すと、父さんが咥えたタバコの先に
火をつけた。
父さんは深く煙を吸いすぎたのかせき込んでいた。

「ごほっ・・・久しぶりに吸うとやはりこうなるか・・・」

父さんはそう言って苦笑する。
意外だった。俺の記憶には父さんがタバコを吸っていた姿は無かったから。

「父さんも吸ってたのか?タバコ」

「昔は、な」

俺が尋ねると父さんは目を細めて星の浮かんだ夜空を見て言った。
その目は昔を懐かしむような思い出すような目だった。
父さんはもう一口タバコを吸うと、顔を顰めてタバコを俺の方に差し出した。

「灰皿あるか?」

俺が父さんの方に携帯灰皿を差し出すと父さんはタバコを灰皿に押し付けた。

「どうも吸いなれてないといかんな。少し気分が悪くなったよ」

父さんはそう言って最後の煙を吐き出した。

「この話はするまいと思っていたんだが」

そう言うと父さんは再び俺の方を見つめた。
俺は父さんが何を言い出すかなんとなく想像がつき、少し身を固くする。

「管理局をやめるつもりはないのか?」

(やっぱりな・・・)

想像通りの話題に俺は内心でため息をつき、いつもと同じように返事をする。

「ないね」

俺がそう言うと、父さんはそうか、と言って去る。
いつものようにそうなるだろうと思ったのだが、今日は違った。
父さんはやれやれと言わんばかりに首を横に振ると、悲しげな目で俺を見る。

「わからんな。なぜそうまでして管理局にこだわる」

「こだわってるつもりはないよ。ただ・・・」

好きでやっているだけ。そう言おうとしたとき、ふと前にフェイトに向かって
管理局をやめようと思っていることを話した時のことを思い出した。

(そういえば、なんで管理局に居続けるかなんて考えたこと無かったかもな)

そんな考えが頭に浮かび自分の言葉の続きを発することができなくなった。

「ただ・・・なんだ?」

そんな俺を見透かすように父さんは重ねて聞いてくる。


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