七十六 大事の前の小事
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目掛けて一気に踏み込む。
その背後で制止を呼び掛ける声を振り切って襲い掛かってきた三忍のひとりを、ナルトは無表情で見ていた。
『……あなたは本当に……おそろしいヒトですね』
「ようやく気づいたか」
カブトのその一言で、【念華微笑】の術を切り上げる。
撃ち込まれた【螺旋丸】を包み込むように、素手で停止させたナルトはようやっと、目線を下へ向けた。
「すまない。待たせたな」
悠々と【念華微笑】の術でカブトとの会話を交わしていたナルトの双眸がようやっと、立ち尽くす大蛇丸を捉える。
「俺は今、里に近づけないんでね」
木ノ葉の里の、ある特定の場所に近づいたが為に、身体の調子が悪くなり、再不斬からしばらく里に近づくな、と禁じられている手前、易々と木ノ葉に潜入するわけにもいかない。
「ならば同じように近づく者を排除せねばなるまいよ」
しかし、里に入れなくても己に出来ることはある。
そう、例えば──。
木ノ葉の里へ近づく三忍の足止め、とか。
「なぁ?大蛇丸……そして、はじめまして?になるのかな?」
【螺旋丸】を間近で受け止められ、平然としているナルトに対し、驚きで声が出ない。
大木も大岩でさえ砕き、粉砕する攻撃力のある【螺旋丸】をこうもあっさり受け止め、そうして微笑む余裕すらある目の前の存在は本当に、人間なのか。
愕然とする自来也へ、ひどく静かな声で、ナルトは名を呼んだ。
「──自来也さま」
目深に被った白のフード。
その陰間から覗く瞳の蒼が、何故か、自分の弟子の瞳の色と重なって見える。
会ったこともないのに、どうしてだか、自来也には妙に懐かしく思えた。
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