七十六 大事の前の小事
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の頃から事あるごとに、ナルを家に連れ帰ってくるし」
「アンタのご両親、昔っからナルのこと気に入ってるものね…」
幼い頃から一人暮らしで、ひとりぼっちだったナルを支えてきたのは何を隠そう、猪鹿蝶の幼馴染だった。特に奈良家はナルをしょっちゅう家に連れ帰っては、夕食をご馳走していたので、当時、周囲の大人全員に対して怯えていたナルも奈良家には懐いてくれていたと思う。
「おふくろのやつ、呼んでこいって言っておきながら、ナルを台所に立たせて一緒に夕飯作ってるし…なに考えてんだか」
うまかったけど、と昨晩ナルが作ってくれた献立を思い出しながら、ぽつりと呟いたシカマルに、いのは「ちなみに何作ってもらったの?」と興味津々に訊ねた。
「?鯖の味噌煮だけど」
(シカマルの好物じゃない…おばさん、着々と花嫁修業させてるってわけね〜)
意外とやり手の奈良家の手腕に、いのが内心舌を巻いていると、綱手がぱんぱんっと気を取り直すように手を叩いた。
「そろそろおしゃべりは終わりだ。我々も自来也の残した情報解読に専念するぞ」
五代目火影の一声で、シカマルといのの顔つきがガラッと変わる。
顔を引き締めて、里内へ戻る綱手といのの後に続きながら、シカマルは一瞬、肩越しに振り返った。
先ほどまでナルがいた場所を見つめながら(がんばれよ)と心の中でエールを送る。
そうして改めて門を潜ったシカマルもまた、顔も気も引き締めて、強い決意を秘めた瞳で前を向いた。
ナルの憂いを晴らし、彼女の力になる為に。
『──よろしいのですか?』
【念華微笑】の術。
遠く離れた相手とも脳内で会話できる術で、ナルトの脳裏に薬師カブトの声が問いかけた。
『戦力過多になりますよ』
「かまわないさ」
カブトの問いかけに、ナルトは笑って返した。
「“暁”のお披露目といこう」
『しかし。あまりにも』
狼狽するカブトの声は周囲には聞こえない。
けれどナルトの受け答えは当然、周りの人間には筒抜けだった。
「忍びではない者…里人にとって、戦力はさほど問題ではない。数の多さが重要だ」
真下から息を呑む声が聞こえる。
だが、ナルトはそれを無視した。
「圧倒的な力の前ではひれ伏すも同然。だが結局のところ、数の暴力のほうが絶望感も高い」
語っている内容が何を示しているのか。
それは、一目瞭然だった。
現に、真下から殺気が突き刺さってきたが、それさえもナルトは無視した。
「平和ボケした木ノ葉にはいい薬だ」
話を聞いた相手が頭に血が上ったのか、ナルト
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