七十六 大事の前の小事
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「……追っ手は来ておらんようだの」
後ろを振り向き、振り向き、背後を何度も確認してから、自来也はほっと一息をついた。
雨隠れの里。
其処から急ぎ離れてた自来也と大蛇丸、そしてアマルは追撃を怖れ、警戒し続けていた。
故に、こうして森の木々に身を隠しつつ、周囲を注意しながら、暫し逃亡劇を繰り広げていたのだ。
ペインと戦闘し、なんとか撤退できたものの、追い駆けてくれば終わりだった。
なんせアマルに治してもらったというものの、本調子ではない現状。
背後からの襲撃が気がかりで、故に何度も振り返ったが、杞憂だったようだ。
そう安堵した自来也の不安を大蛇丸が更に打ち消した。
「私が口寄せした蛇達にあらゆる所で見張らせているけど、今のところは大丈夫みたいね」
いつのまにか数多の蛇を口寄せし、要所要所で監視させていた大蛇丸の抜け目のなさに、(相変わらずだな…)と自来也は苦笑した。
敵に回すと厄介だが、味方だとこうも頼もしい。
ペインとの戦闘中に急に現れた大蛇丸には驚いたが、共闘自体は悪いものじゃなかった。
むしろ懐かしささえ感じて、これほど頼りになるものだっただろうか、と昔を思い出す。
大蛇丸との共闘を経て確信を得る。ひとりだと絶望的だった戦況が一変したのだ。
しかしながら、今後、ペインとの戦闘に少し希望が見えてきた矢先、当の本人から戦闘の離脱を申し出られた。
「さて。そろそろ私は失礼させてもらおうかしら」
「……なに、」
狼狽した自来也は、並行して走っていた大蛇丸に勢いよく顔を向けた。
「なにを言っておる!?ワシらの後を追い駆けてこないということは、他に優先すべきことがペインにはあるということじゃ。それがどういうことかわからんお前ではないだろう!?」
そうだ。追撃がない。追っ手も無い。ということはペインには自来也や大蛇丸よりも優先すべきことがあるという事。
それは間違いなく──。
「木ノ葉への襲撃…九尾の人柱力…ナルが危ないという事じゃ。ならば我々も早く木ノ葉へ…」
「私は遠慮するわ」
しかし自来也の言葉を遮って、大蛇丸は頭を振った。
「お尋ね者の私が行ったところで、ペインもろとも木ノ葉の忍びに攻撃されるだけでしょう」
それはもっともな意見だ。
当然だろう。
同じ三忍の窮地に思わず手を出してしまったが、抜け忍である自分が、何故、今更のこのこ木ノ葉の里に戻れるのか。
「しかし、」と渋る自来也を呆れ顔で眺めて、大蛇丸は足を止める。
ついて来たアマルが困惑顔で、自来也と大蛇丸へ交互に視線を投げた。
ペインとの戦闘を離脱する際、大蛇丸はサスケではなくアマルを連れて、撤退した。
それはひとえにサスケなら
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