エピローグ
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。
やがて背を向け、歩み出すと、声をかけられた。
「行くのかい? 士」
それは、海東。
彼もまた手を組みながら、士の動向を見守っている。
足を止めた士は、面倒そうにため息を付いて海東を見つめる。
「お前……付いてくるなよ」
「いいじゃないか。僕は君の追っかけだ。どの世界でも、共にいようじゃないか」
「はあ」
士はため息を付く。
「そういえば、お前この世界のお宝はいいのか? 案の定聖杯は汚れていたわけだが、他に探せばいいだろ」
「いや……元より、お宝は見つけていたよ」
海東はそう言って、ハルトたちを見返す。
「どれだけ世界が巡ったとしても変わらない絆。それがこの世界のお宝でいいんじゃないか?」
「……お前、何か悪い物でも食べたか?」
士は冷めた目をして尋ねる。
「そんな詩的なことを言う奴だったか?」
「たまには僕も、そんなことを言うよ」
「気持ち悪いな。それに何より……そういう絆とか、お前嫌いじゃなかったか?」
「好きじゃないが……嫌いでもないよ」
海東は笑みを浮かべたまま、手で作った銃で士の額へ発砲。
「この世界のお宝は奪えないから……次に君が訪れる世界のお宝を頂くよ」
「ふん」
呆れた士は、右手を大きく振った。
すると、マゼンタの光が士の右手を包む。すると、刻まれた令呪をマゼンタのヴェールが覆っていく。
やがて、それはマゼンタのオーラとともに消失。首を回したところで、海東はまた口を開いた。
「それより士。次はどの世界に行くんだい?」
ずっと嫌な顔をして、士は動かない。やがて手を上げると、目の前に銀色のオーロラが現れた。
このオーロラをくぐれば、この世界と別れることになる。そのまま、まだ見ぬ別世界へ___
「士!」
背後からの呼びかけに、士は足を止めた。
仲間たちに囲まれながら、ハルトが口元に手を当てながら大きな声で叫んでいる。
「ありがとう! アンタのおかげで、俺は……!」
「俺は何もしていない。立ち直ったのはお前が自分でやったことだ」
士はそう言って、オーロラへ視線を移す。
だが、それでもハルトの声は途切れなかった。
「それでも言わせてくれ! アンタがいなかったら、俺は今の自分の目標も分からなかった。もしかしたら、このままダラダラと、今まで皆に正体を隠していたことに対して引け目を感じていまま生きていくことになったかもしれない」
ハルトは、さらに続ける。
「俺は、自分の罪を受け入れる。そしていつか、この命が……松菜ハルトに胸張って、生き切ったって言えるその時まで……!」
ハルトは振り返る。
真司、可奈美、コウスケ、響、友奈。
少し離れたところにいる
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