第一章
[2]次話
給食の栄養
給食と聞いてだ、白崎桜子は言った。
「いや、お祖母ちゃんの頃からだったね」
「給食あるの」
「そうだよ」
孫の富之まだ小学校三年生の彼に話した。
「その頃からね」
「あるんだ」
「そうだけれど」
祖母はさらに話した。
「あの頃は美味しいとはね」
「思わなかったんだ」
「すぐに固くなるパンに」
まずはこれを挙げた。
「べちゃべちゃした煮物に」
「カレーとかなかったの?」
「なかったよ」
孫に笑って答えた。
「とてもね」
「そうだったんだ」
「それで脱脂粉乳だったんだよ」
「脱脂粉乳って?」
「牛乳だけれど」
すっかり白くなった頭と眼鏡をかけた穏やかな顔で話した。
「脂肪のないね」
「そんな牛乳なんだ」
「これがまずくて」
それでというのだ。
「今の牛乳と比べたら」
「どうなの?」
「とても飲めたものじゃなかったんだよ」
こう孫に話した。
「本当にね」
「そうだったんだ」
「そうしたものばかりで」
「まずかったんだ」
「そうだったのよ、その頃でもね」
「お祖母ちゃんが子供の頃は」
「よくあんなもの食べていたと思うよ」
こうも言うのだった。
「けれどあの頃は」
「給食はそうだったんだ」
「むしろ食べられるだけ」
「よかったんだ」
「あの頃は戦争が終わったばかりで」
第二次世界大戦、それがというのだ。
「日本もまだまだ大変で」
「お祖母ちゃんが子供の頃は」
「お祖母ちゃんは戦争を知らないけれど」
即ち戦後生まれだがというのだ。
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