第一部
第四章 いつだって、道はある。
ガイとリー
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ずっとずっと逆立ちを続けていたガイに、リーは問いかけた。なぜガイはいつも何かをする前に、ああやって変なルールをつけるのかと。
ガイは言った――これは自分ルールというもので、勝負の前に、わざと自分を過酷な状況に追い込むようなルールを決め、枷をつける。例えばこのルールなら、過酷なルールをつけることによって、ガイは例えじゃんけんのような取るに足らないことにでも全力で挑めるし、例え負けたとしても五百周を実行することによって自分を鍛えることも出来るのだ。
そしてリーは、自分ルールを一つ決めた。「ガイ先生についていけなければ、もっと努力する」――ガイを目指し、努力すればきっと立派な忍者になれると、そう信じて、彼はこのルールをつけたのだ。
そしてガイも一つ、自分ルールを追加した。「もしリーが最後まで俺についてこれなかったら、命を賭けてでもリーを鍛える」と。
命を賭けて。
「努力を続けてきたお前の手術は、必ず成功する」
リーが顔をあげて、ガイの顔を見た。
「万が一、いや、一兆分の一でも失敗するようなことがあったなら……俺が一緒に死んでやる」
だってそれが、ガイの自分ルールだからだ。
彼は命を賭けてリーを鍛えると約束した。
だからもしリーが死ぬことがあったのなら、自分も、この命を捨てる覚悟は出来ている。
リーを立派な忍者にするのがガイの夢。立派な忍者になるのがリーの夢。
二人とも夢を捨ててはきっと生きてはいけない人間だ。だからリーが死んで、ガイの夢が叶わなくなったとしたら、きっとガイも、生きてはいけない。
暖かい暖かい師の存在に、リーは堪えきれずまた涙を流した。
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