第一部
第四章 いつだって、道はある。
ガイとリー
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ンのその言葉を、きっとリーが一番強く感じていたのではないのだろうか。体術しかなくても立派な忍者になると誰よりも頑張ってきたリーを、一番よくしっているのはリー自身だ。修行の過程でどんなに辛いことがあっても、どんなに疲れたり痛みを感じていたとしても、それでも諦めずに続けてきたのはリー自身だ。なのにどうして自分が、そう理不尽に思う気持ちは、ネジよりもテンテンよりもガイよりも、リーが一番強いはず。
「僕はどうしたらいいんですか……教えてくださいッ!」
例え自分を蝕む禁術であっても、自分の守りたい意志と夢のために彼はガイに教えを請った。彼はその夢に、忍道に、全てを賭けているといっても過言ではないくらい必死だったのだ。
綱手の言葉が蘇る。彼女にこのことについて聞いた時、彼女が口にした忠告。あの子の夢がどうであれ、忍びは諦めた方がいいと、彼女はそういった。
けれど。けれど。
体術しかなくても立派な忍者になる、それがリーの全てなのだ。
きっと苦しいに違いない。長い間努力してきた夢が今、理不尽に奪われようとしている。長い長い努力が、水の泡になろうとしている。
リーには生きていて欲しいと思うけれど、リーにこれから一生、ずっとずっとこの理不尽に奪われた夢に苦しみながら生きてほしくはない。
「リーよ」
リーが頭を持ち上げる。涙を流し続ける彼に、ガイは言い放った。
「その苦しみから解放されたければ、覚悟を決めることだ!」
呆然とガイを見上げていたリーは、震える声で聞いた。
「それは……っ夢を諦める覚悟、ですか……?」
「……己の夢を失えば、お前は今よりも苦しむことになる。忍道を失うようなことがあれば、生きていても苦しいだけだ……俺も、お前も。――手術を受けろッ、リー!」
ガイのその言葉に、リーは涙に濡れた瞳を見開いた。
そして彼は、言った。
「さっき、ガイ先生が来るまで、僕はなぜか先生とカカシ先生がじゃんけんしている時のことを思い出していました……その時、先生は運も実力の内だと、言ってましたね。……手術も、生きるか死ぬかは五分……でも、じゃんけんとは違います!」
じゃんけんに負けたって、カカシに一回多く負けるだけだ。じゃんけんに負けたって、逆立ちして五百周するくらいだ。じゃんけんなら何度でもやり直すことが出来る。でもリーの命は違う。
死んだらそこで終わりだ。じゃんけんみたいに、軽々しくグーやチョキやパーを出すのか決めるほど簡単に決められるようなことではない。
「……あの後のことを、覚えているか、リー?」
不意にガイが、口を開いた。
あの時。あの時ガイはパーをだし、カカシはチョキをだし、見事に負けたガイは、言葉通り逆立ちを始めたのだ。夕焼けになっても、真夜中になっても、
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