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ボロディンJr奮戦記〜ある銀河の戦いの記録〜
第92話 カプチェランカ星系会戦 その3
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せ、ローキックで崩し……隙が見えたところでKOを狙うが、まぁ大抵は判定勝負じゃな」
「数の大小は、階級」
「そうじゃ。逃げるにしても、大ケガしないように立ちまわって逃げねばならん」

 フライ級とヘビー級じゃまともに戦ったら勝負にならない。移動速度、距離間隔、攻撃の質……なるほど爺様の攻撃指示は、リング上の老練な格闘家の戦い方そのままだ。逆に言えば負けない戦いというのも、同じ基準で考えて指示をしている。
 だからこそ今の第八艦隊司令部が出す『戦術シミュレーションの逆回し』みたいな指示をまどろっこしく感じるのだろう。意図は理解するが、もっといい『倒し方』はあるんだぞと。やはり爺様は柔軟な思考力と広い視野を持っていても、本質は戦術家(喧嘩屋)なのだ。

 恐らく、いや統合作戦本部と宇宙艦隊司令部の人事評価部門がマトモであれば、一連の戦いでの評価と前回のエル=ファシル奪回の功績で、爺様は第五艦隊司令官になるかまではわからないが中将に昇進するだろう。俺ももしかしたら中佐に昇進するかもしれない。そして原作では爺様とモンシャルマン参謀長のコンビは、宇宙歴七九四年のヴァンフリート星域会戦まで継続する。となるとやはり俺は爺様の機嫌をよほど損ねない限り、最大で『第五艦隊作戦参謀/准将』あたりになる、かもしれない。

 それで果たしてあの帝国領侵攻を事前に阻止できるだけの実力と権限を持つことができるのだろうか。それこそフォークを暗殺でもしなければダメなんじゃないか……前進を開始し、意気上がる第四四高速機動集団の前衛部隊が帝国軍中央部隊の右脇腹に突っ込んでいく姿を眺めつつ、俺は小さく溜息をつくのだった。

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