第一章
[2]次話
誰でもアニメ化は
小学四年生の新井克太の父の俊平は漫画家である、息子が生まれる前から大学を卒業して一旦就職してから漫画家になった。
就職したのは家の仕事の酒屋であったので酒屋をしながら描いているが。
「えっ、お父さんの漫画がなんだ」
「そうだ、アニメ化するんだぞ」
父は息子に笑顔で言った、長方形の穏やかな顔で黒髪を短くしている。一七三位の背で引き締まった身体をしている。
「今度な」
「そうなんだね」
「ああ、嬉しいだろ」
「うん」
父親そっくりの外見で答えた。
「アニメになるなんてね」
「お父さんも嬉しいぞ、それこそな」
「それこそ?」
「漫画家になれた時と同じ位な」
デビューが決まった時と、というのだ。
「嬉しいぞ」
「そうなんだね」
「まさかね」
妻で一緒に酒屋をやっている愛衣も言ってきた、おかめを思わせる顔で黒髪をショートにしている。小柄だが胸は結構以上な大きさである。
「描いている作品が漫画になるなんて」
「信じられないよ」
「そうよね」
「さて、後はな」
父はさらに言った。
「声優さんやスタッフそれにな」
「制作会社ね」
「月刊エイトでの連載だからな」
「八条出版のね」
「八条出版は八条グループの系列会社だろ」
夫は妻にこのことを話した。
「だから制作会社は」
「八条アニメね」
「あそこになるだろうな」
「八条出版の作品は絶対あそこで制作するから」
「スタッフもあそこかあそこに近い人だしな」
「それに真面目に作画してくれる会社だし」
妻は八条アニメのこのことも話した。
「だったらね」
「ああ、安心してな」
「観られるわね」
「声優さんのキャスティングもな」
「そちらも安心出来るわね」
「ああ、絶対にな」
父は満面の笑顔で言った、そして制作会社は実際に作画のよさには定評のある八条アニメとなってだった。
スタッフもそちらの系列の人達になり声優のキャスティングも決まってだった。
放送にまで至った、だが。
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