暁 〜小説投稿サイト〜
リュカ伝の外伝
心と身体を温める温泉
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ーを抱いて湯船に浸かっていると、背後の脱衣所から人の気配がした。
ティミーかなとも思ったが、万一に備えて素早くタオルで身体を隠す。
アミーに巻き付ける訳にはいかないから、抱いている時は身体に小さめのタオルを乗せて隠す。

判断が速かったお陰で気配の者が浴室に入ってくる前に支度が完了。
そして備えた甲斐があり、入浴客はティミーではなく知らない男性だった。
湯船に浸かっている私からは背後になる為、しっかりと確認はしていないが年齢的にはティミーと同じくらい……

「こんばんはマダム。月がとても美しく、素晴らしい温泉日和ですね」
そう言って見知らぬ私に近付いてくる。
顔を確認する為に振り向いて視線を上に移動する。

その途中……見たくはなかったが隠してない為に見えてしまったこの男の男部分。
自慢の部位なのか、見せ付ける様にブラブラさせている。
私の知識的基準は(ティミー)のモノなので、彼の部位は大きいとは思えない。
だが私が知らないだけで平均値なのかも知れないわね。

「こんばんは……この村の方では無い様ですね。ご旅行ですか?」
この男が視界に入らない様前方を向いて挨拶を返した。
「ええ、私はラインハットの貴族なんですけど、心身を癒やす為にこの温泉に参りました」
何で一々貴族である事を強調するのか解らないが、直感的に私の嫌いなタイプだと思われる。

「おっと申し遅れました、私……ネル子爵家の者でして、ドン・ファン・ネルと申します」
私の直ぐ傍まで来て片膝を付いて話しかけ続けてくる。
視線は前方だけを見る様にしているが、私の顔の左側で部位をブラブラさせているのが分かる。
不愉快だ。

「おや、マダムのお子さんですか? 可愛らしい……女の子でしょうか?」
「はい女の子です。なので申し訳ございませんが、タオルか何かで覆って頂けませんか? この()には見せたくないので!」
早く仕舞え馬鹿。

私はアミーが男を見ないようにと顔を娘に向けた。
私の顔を見ていてほしかったからだが、アミーは先程までの笑顔は無く、眉間にシワを寄せて男の事を睨んでいる。

コイツを見てはいけません。
そんな思いで無理矢理顔を私の方へ向けようとした瞬間……
アミーは手に持っていたオモチャ(しんかいりゅう)を勢いよく男へと投げ付けた!

(スコーン!!)
綺麗な音が響き渡る。
驚き視線を男に向けると……まだ1歳にもならない赤子が投げ付けたにも関わらず、男は勢いよく仰け反り引っ繰り返る。

顔面に当たったらしく顔(特に鼻)を左手で押さえながら起き上がる男。
そしてよく見ると手の隙間から赤い液体が滴っている。
流石にやり過ぎだと思う……軽薄なナンパ男とは言え負傷させるのは拙いわ!

謝って介抱しようと少し腰を
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