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の始まりの場所なのだと思うとワクワクする。
「近いな」
所定の位置について前を見上げると、すぐ目の前に敵の姿がある。確かにこの距離なら一瞬で勝敗がつく。恐らくは力の差がある戦いになった際、逃げられることを防止する意味合いも込められているのだろう。
(でも・・・この距離ならよりあの策が生きる)
対戦相手、間合い、そして試合開始までの時間の短さ・・・全てが俺に味方をしている気がする。それほどまでに条件が整っており、笑みが抑えきれない。
「ずいぶん余裕だな、シリル」
俺にしか聞こえないような小さな声で話しかけてくるスカイシー。いや、もうその名で呼ぶのはいいだろう。
「はい。この前あなたの戦っている姿を観察させてもらったので、対策が練りやすかったです」
「ほう」
挑発しているにも関わらず彼はそれに乗ってこない。むしろその言葉を待っていたかのようにすら思えた。
「なんであなたがこんなことしてるのかは知らないですけど、せっかくの機会ですからね。その仮面、剥ぎ取ってやりますよ、ヴァッサボーネ」
「その名で呼ぶな。だが、楽しみにしているよ」
周囲に聞こえないほどの小さな声で言葉を紡ぎ合った俺たちは笑みを浮かべ、戦いのための姿勢へと移った。
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