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ハドラーちゃんの強くてニューゲーム
第5話
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ロン・ベルクへの挑発を終えたハドラーちゃんは、図らずもキルバーンと対峙していた。
だが、一見するとハドラーちゃんの方が追い詰められている様にしか見えず、後は綱引きの要領で巨大な鎌を引っ張るだけでハドラーちゃんの頸を斬り落とせそうである。
しかし……
「ボクが君を殺す前に1つだけ訊きたい」
「……なんだ?」
「君がさっき言った『また』ってどう言う意味だい?」
それを聞いたハドラーちゃんは、何も答えるクスッと笑うだけだった。
そう、あのキルバーンですら俗に言う『強くてニューゲーム』の妙に引っ掛かったのだ。
「答えは無しか?よほどの自信がある様だが、高くつくよそういう態度は。いくらすごい呪文を持っていても、この状況をどうにか出来るとは思えないけどねェ」
対して、ハドラーちゃんは自信満々だった。
「試して視るか?」
「あ、そう。それ……あれ?鎌が……死神の笛が動かない!?」
キルバーンは驚いているがなんて事は無い。
ハドラーちゃんがただ鎌の柄を握っているだけである。
「おいおい(笑)、こんな小娘の細腕1本如きに何が出来る(笑)?」
「ほほう。見た目に反して腕力にはかなりの自信が有る様だね!?だが、敵に背を向けているのは君の方である事には変わりはないよ」
ハドラーちゃんが再びクスッと笑った。
「ほう。そんなに俺の逃げる背中が見飽きた言うのであれば―――」
(まただ!こいつ、初対面のボクに向かってまた『また』を使った!?)
体をクルッと回転させてキルバーンの方を向くハドラーちゃん。
「だったら、俺の欲の皮が突っ張た顔を……」
ここで一旦自分の台詞を止めるハドラーちゃん。俗に言う『強くてニューゲーム』の妙を利用する為に言い方を変える為だ。
「またまた拝ませてやる!1周目(あのころ)の様にな!」
「!?」
が、ここでハドラーちゃんに少しだけ迷いが生まれた。
(とは言ったモノの……バランの証言が全て正しいと仮定するなら、キルバーンに対して覇者の剣を使用するのは禁忌の筈。何で攻撃したら良い?)
2人共、何だかんだで固まってしまったが、先に動いたのはハドラーちゃんの方だった。
(多分牽制にすらならんが……取り敢えずこれで!)
キルバーンに地獄の爪(ヘルズクロー)を打ち込んで仰向けに倒した。
「ウ……ガァッ!オ……アアアッ……」
だが、ハドラーちゃんは勝ち名乗りをあげない。それどころか、
「猿芝居は辞めろ死神……立て!」
その途端、キルバーンがすくっと起き上がった。
「本当につまらない女の子だね君は。ボクの渾身の死んだフリをこうも早く見抜くなんて」
「ほんとだよねー。もうちょっと驚いたって良いのに」
それを見てニヤリと笑うハドラーちゃん。
「フッ。生憎、貴様の復活を見たのは、これが初めてではないのでな」

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