第3部
ジパング
異国の地ジパング
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た言い放ったユウリの方に一斉に視線が集まっている。
「しゃ、喋った!?」
「ガイジンなのに、言葉が通じるぞ!」
「おうぶ? なんの話だろうね」
「はあ、なんて綺麗な子たちなんだい? まるでこの世の人ではないみたいだ」
言いたいことを言う村人に、ユウリのこめかみがわずかに引きつる。
そんな中、一人の中年女性が一歩前に出て、警戒心を露にしながら尋ねてきた。
「……『ユウシャ』ってのがなんだか知らないが、仙人か何かの使いかい?」
『は?』
村人の一人が言った『センニン』という馴染みのない言葉に、ユウリだけでなく私たちも間の抜けた声を出す。
「仙人にしては随分と物騒な武具を身に着けているぞ」
「どっちでもいいだろ、そんなこと」
「もしかしたら神樣の使いかもしれんな」
「おお、ならばこの村をお救いしに来て下さったのか!」
「ナンマンダブ、ナンマンダブ……」
どういうわけか、いつのまにやら神様の使いにされている。これでは埒があかないので、ちょうど一番近くにいる中年の男性に話を聞くことにした。
「あの、すいません。この村で一番偉い人のところに案内してくれませんか?」
その途端男性は大げさなくらい驚くと、
「あわわわわ!! 仙人様の使いと目があっちまった!!」
そう言うや否や、一目散にこの場から走り去ってしまったではないか。
「ちょ、ちょっと!!」
だから『センニン』って何!?
そう叫ぶ前に男性が行ってしまったので、諦めて他の人に尋ねようとしたのだが、シーラに呼び止められた。
「ミオちん、何か皆いなくなっちゃったんだけど」
「ええっ!?」
ほんの一瞬の間に、先ほどまでいた数人の村人は皆忽然と姿を消してしまった。最初に『センニン』と言った人も、いつの間にかいなくなっている。まさか幽霊?と思ったが、ナギ曰く私が目を離した隙に皆逃げてしまったらしい。先ほどの男性のように怖がる人もいれば、関わり合いになりたがらない人、興味はあるが遠巻きに眺めている人など、様々だ。
「こりゃあ、オーブを探すどころじゃねえな」
ナギの言うとおり、村人に話が聞けなきゃ何も始まらない。とにかく村人がこれ以上逃げないよう、他に話が出来る人を探すことにした。
ところが――。
なるべく目立たないようにしつつ、片っ端から家を尋ね回ることにしたのだが、すでに初めに私たちを見かけた人たちから聞いたのか、尋ねた家の家主と顔を合わせた途端、口を揃えて皆『センニン』とか言い放ち、すぐに家の扉を閉めてしまうのである。これでは情報を聞くどころではない。
『オーブ』のことを尋ねても、「おうぶ? それは仙人様の術ですか?」とか見当違いの答えが返り、さらには「その術で何をする気ですか?」と怯えて家にこもってしまう始末だ。
そしてふと気づいたのだ
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