第3部
ジパング
異国の地ジパング
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きた。集落というより村といった方が正しいだろうか。船からでも見えたが、この島の建物はスー族の里とも違う独特な形をしている。木を組んで作られた小さめの家には、藁を集めて作ったような屋根が乗っていた。そんな見慣れない家々が建ち並ぶ集落の中心に、不自然なくらいに大きな木造の屋敷が建っていた。
「何だあれ!? 変な形の家ばっかりじゃねーか!!」
ナギが率直な感想を漏らす。スー族の里の家を見てきた私とユウリにとっては別段驚かなかったが、普段私たちが住んでいる町に比べたらこの見慣れない風景は騒がざるを得ない。
それでも自然と共存しているかのようなこの平穏な雰囲気は、この集落にはとても似合っているように感じた。
よく見ると、集落の入り口らしき場所には、塀どころか家々を取り囲む柵すらない。これでは魔物も入り放題なのではないだろうか?
「随分不用心な村だな」
ユウリも私と同じことを考えていたらしい。するとそこへシーラが口を出す。
「なんかこの村、ダーマの結界みたいなもので守られてるみたい。それが何なのかはわからないけど」
ダーマの魔物除けの結界と言うと、あの石像みたいなもののことだろうか。私はダーマで見た時のことを思い出した。
「そんなことがわかるのか?」
ユウリが驚いたようにシーラを見返す。シーラはユウリの反応に気をよくしたのか、鼻を高くする。
「へへん。フィオナさんちの本を見て、魔力を感知できる技を身につけたんだよね♪ すごいでしょ☆」
「ふん。そのくらい、知識があれば俺だってできる。だから俺にもその技を教えろ」
「ムリムリ☆ だって賢者にしかできないって書いてあったもーん♪」
そう言うとシーラは、ユウリから逃げるようにぴょんと跳ねながら先に行ってしまった。
「お前が出来るんなら俺に出来ないはずないだろ。いいから教えろ!」
なおも食い下がるユウリは、早歩きでシーラのあとを追いかける。別にシーラが身に付けてるならいいじゃん、と思うが、彼のプライドがそうさせているのだろうか。
「そういや、ここにオーブがあるかもしれないんだろ? 確かめなくていいのか?」
「あっ、そうだった! おーい、ユウリ!!」
ナギのもっともな疑問に、私はポンと手を叩く。私はユウリを呼び、山彦の笛を吹いてもらうことにした。
「バカザルに指摘されるとは、やはり本調子じゃないようだな」
何やらぶつぶつ言いながらも、ユウリは山彦の笛を鳴らす。するとほどなく、彼が奏でた音と同じ音がどこからか聞こえてきたではないか。
「おい、今同じ音が返ってきたぞ!?」
初めて山彦の笛が反応したのを目の当たりにしたからか、素直に驚くナギ。その様子にユウリどころか、シーラまで小馬鹿にするようにナギを見ている。
「そりゃ『山彦の笛』って名前がつくくらいだもん、山彦が返
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