正義
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き立てる。逆転の一手になり得るその攻撃ではあったが、一夜はそれを逆手に取った。
「ぬぉ!!」
「なっ・・・」
一夜は向かってくるその拳にあえて頭を叩き付けたのだ。互いに衝突したその一撃。それが勝ったのは男の強い決意だった。
「ぐっ・・・うっ・・・」
変形した右手を抑えながらその場にうずくまるグレイティス。それと時を同じくして二人の耳に響いてくる銅鑼の音。
『勝者一夜!!これにより一夜選手はグレイティス選手のターンも獲得することができます!!』
昨日の仲間の無念を晴らした男は魔法の効果が切れたのか、身体が元へと戻る。その時・・・
「!!」
うずくまっていた大男が突然立ち上がると、その小さくなった人物の胸ぐらを掴んだのだ。
『グレイティス選手!!バトルは終了カボ!!速やかにその手を離すカボ!!』
会場が彼の暴挙にざわつく。ルール違反を犯そうとしているのではないかとどよめいていたところ、彼は突然怒りに満ちた表情で一夜へと話しかけた。
「我に勝ったのだ。このゲーム、一位でゴールしてみせよ」
敗北したことへと腹いせなどではない、自分が強者であるからこその敵へとエールだった。それを受け取った一夜は一瞬キョトンとした表情を見せた後、思わず笑ってしまった。
「メェーン。私は君たちを勘違いしていたのかもしれないな」
明らかに度の越した攻撃をしていた前日。しかし今の男の言葉を聞いてそれが彼らなりの正義であることを理解した一夜。大男は彼の胸ぐらを掴んでいたその手を離すと壁へ倒れるようにもたれ掛かる。
「また次、戦える機会を楽しみにしているよ」
「・・・あぁ」
傷だらけになった一夜はゆっくりとした足取りで次の扉へと手をかける。残された男は懸命に狭くなっていく視界の中、意識を保っていた。
「次があればな・・・」
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