正義
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彼ならどんな結果でも褒めてくれるとは思いますが、一位を取るとは思ってないでしょうしどんな顔をして迎えてくれるのか非常に楽しみ。そう思いながら進んでいると、次に開いた部屋の中に見覚えのある人物がいました。
『ウェンディ選手!!グラシアン選手と遭遇です!!』
そこにいたのは剣咬の虎のグラシアンさん。なんですけど・・・彼はこちらに気付く気配も・・・いえ、それどころか起き上がることすらできずに壁に血塗れになってもたれ掛かっています。
『ウェンディ選手、少々お待ちいただいてもよろしいですカボ?』
「は!!はい!!」
念話で聞こえてくるマトー君の声。恐らくこんな状態の彼では戦えるわけがないと判断してギルドの皆さんに棄権するかどうか確認しているのでしょう。ただ、もし仮に棄権したとしてもすぐに治療ができるの?
『グラシアン選手は棄権となりましたカボ。ウェンディ選手!!一分以内に次の扉をお選びくださいカボ』
「は・・・」
返事をしかけて私はあることに気が付きました。それは今まで目の前にいる彼の息がかなり細くなっているということです。
「あの!!グラシアンさんの治療は・・・」
『今衛生兵が向かってるカボ。気にせず進むカボ!!』
耳を澄ますと確かに足音がこちらへ向かってきているのが聞こえます。でも、今の彼はすぐにでも治療が必要な状態であることは明らか。それがわかった私はすぐに行動に移りました。
『ウェンディ選手!!早くしないと時間が・・・』
マトー君の念話が聞こえてきますが私はそれを気にすることなくグラシアンさんへ治癒魔法をかけます。王国の衛生兵さんたちが来るまでに少しでも治療しなければ、そんな想いが勝ってしまいました。
シリルside
「ウェンディ・・・」
自身のターンを消耗してでも目の前の命を助けるために治癒魔法を使っている彼女。そんな彼女に会場からは拍手が巻き起こっていました。
「ウェンディらしいですね」
「そうね」
しばらく彼女は治癒の魔法をかけて彼の傷口を塞ぐと、ようやくやってきた衛生兵の方に彼を引き渡しました。ルールを覆すことはできないということでこのターンは終了してしまったけど、それでも彼女らしさのある行動を見て誰も責めるようなことは言わなかった。
「あとで褒めてあげないとね」
それどころかそんな感情が芽生えてくるほど。そんなことを考えながらゲームの観戦へと俺たちは戻るのだった。
第三者side
「ハァ・・・ハァ・・・」
壁に手をつき乱れる息
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