第三話 受け入れる器その八
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ふとだ。カツオが二人に言ってきた。
「あの」
「うん、この城に入るには」
「どうすればいいかだが」
「チャイムがありますけれど」
カツオはいつもの少しおどおどとした調子で二人に話してくる。見ればだ。
門の左の柱、ダークグレーの石の柱にだ。チャイムがあった。音符のマークまでついている。それを見てだった。
二人はだ。やや拍子抜けしてだ。顔を見合わせてからだ。
そうしてからだ。こう話すのだった。
「何か。今度も」
「拍子抜けするものがあるな」
「そうですよね。吸血鬼っていうからさぞかし危険な相手かって思いましたけれど」
「これでは一般市民と変わらないな」
「じゃあチャイムを押しますか?」
五代が提案した。
「そうしますか」
「そうだな。とりあえずはな」
一条も五代のその提案に頷く。そしてだった。
五代がそのチャイムのボタンを押した。するとだ。
暫くしてだ。チャイムの向こうからこう返事が返って来た。
「はい、どちら様でしょうか」
「普通の声ですね」
「そうだな」
「新聞なら間に合ってますよ」
まずは新聞のことから話してきた。
「東スポ取ってますから」
「あれっ、朝日じゃないんですね」
「読売でもないな」
「とりあえず新聞はいいですから」
まただ。返事が返って来た。
「それなら帰って下さいね」
「新聞屋さんじゃないにゃ」
にゃんぱいあが下からその声に言った。
「僕達は吸血鬼さんに会う為に来たにゃ」
「僕に?」
吸血鬼と言われるとだ。すぐにだった。
声はだ。今度はこう返してきた。
「僕に何か用かな」
「はい、実はですね」
「貴方に会いたくて来た」
「セールスマンもお断りですよ」
今度はこう言ってきたのだった。
「それなら別に」
「だからそういうのじゃないです」
「猫について聞きたい」
五代と一条は今度はこう声の主、吸血鬼と思われる彼に述べた。
「貴方が助けた猫と一緒にいるんです」
「それで聞きたいことがあるのだ」
「ああ、そのころですか」
吸血鬼の声は実に素っ気無いものになった。
その素っ気無い声でだ。彼はまた言ってきた。
「ならいいですよ。お城の中に入って来て下さい」
「いいんですね、そうして」
「今から」
「はい、どうぞ」
ここでも素っ気無くだ。彼は言ってきたのだった。
「御待ちしています」
「よし、それじゃあ」
「今からな」
二人は話があまりにも簡単にいっていることに首を捻りながらもだ。それでもだ。
にゃんぱいあ達を連れてだ。そのうえでだ。
門を開け城に向かう。城の左右の木々は今にも動かんばかりの姿だった。
第三話 完
2011
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