第三話 受け入れる器その七
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にゃんぱいあはだ。とても楽しそうにだ。こう言うのだった。
「命の恩人に会えるなんて楽しみだな」
「そういえば兄上はずっと」
「そうだにゃ。会いたいと思っていたにゃ」
こうだ。満面の笑顔で茶々丸に言うのである。
「だから凄く楽しみだにゃ」
「それなら余計にですね」
「行きたいにゃ」
こうした話をしてだ。にゃんぱいあはとりわけ楽しそうに吸血鬼の城に向かうのだった。
だが、だ。ふとだ。五代がそのにゃんぱいあ達に尋ねた。
「長い旅になるかも知れないからね」
「何だにゃ?」
「どうしたんだ?」
にゃんぱいあとまさむにゃが彼の言葉に応える。
「何かあるのかにゃ」
「別に何でもないだろ」
「君達の御主人達に連絡しておかなくていいのかな」
彼が言うのはこのことだった。
「それはどうなの?」
「ああ、その心配はないよ」
「すぐそこだから」
また毛利君と小森君が話してきた。二匹は五代の頭の上を飛んでいる。
「もうすぐ見えてくるから」
「安心していいよ」
「あれっ、近いんだ」
「それはまたな」
二人はそう言われてだった。
いささか拍子抜けした。そしてそれは。
にゃんぱいあも同じでだ。こうまさむにゃに言うのだった。
「あれっ、こんな近くにいたのにゃ?」
「歩いていける距離だよな」
「そうだにゃ。それだけの距離だにゃ」
実際にそうだとだ。まさむにゃに話すのである。
「本当に意外だにゃ」
「身近な人だったんだな」
「これならもっとお家の外をしっかり散歩しておくんだったにゃ」
「まあそれは仕方ないぜ」
まさむにゃは前足を組みとことこと歩きつつ述べた。
「俺達の移動範囲って限られてるからな」
「縄張りの中でしか動けない筈だな」
一条は猫の習性から話す。
「もっとも猫の縄張りは広い場合もあるが」
「この辺りは一応縄張りにゃ」
「俺もだ」
「僕もです」
にゃんぱいあだけでなくまさむにゃと茶々丸も答えてきた。
「これでも結構広いんだぜ」
「他の方と重なってる場所もありますが」
「僕も一応」
カツオもおどおどとしながらだが話す。
「この辺りは」
「僕に縄張りは関係ありません」
にゃてんしはそうだというのだ。
「何しろ元天使ですからね」
「それでこの辺りに気付かなかったのはどうしてかな」
「縄張りでもあまり行かない場所もあるにゃ」
だからだとだ。にゃんぱいあは二人に話した。
「それでにゃ」
「成程、そういうことなんだ」
「だから誰もその城には気付かなかったのか」
五代も一条もこのことがわかった。
「猫といっても色々あるんだね」
「はじめて知った」
二人もだ。知らないことは多い。所詮人間の知っていることなぞまさに大海の中の一杯のスプーン程
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