第二章
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その彼が注文したコースの最初のスープを見て言った。
「四人前頼むか」
「ええ、これだけ少ないとですよね」
フィルドゥシーも言った。
「それだけ必要ですね」
「貴族ってのはこれだけしか食わないのか」
「平民の店も少なかったですけどね」
「貴族はか」
「もうこんなのです」
「連合じゃ足りるか」
とてもというのだ。
「本当にな」
「そうですよね」
「皆も四人前注文しろ」
マッテオはフィルドゥシー以外の者達にも言った。
「こんなのじゃとても足りないぞ」
「全くですよ」
「エウロパの連中は少食ですね」
「これっぽっちで満腹するなんて」
「道理で身体が小さい筈ですよ」
フィルドゥシーも他の兵達もだった。
こんなことを言って食べて飲んだ、彼等は実際に四人前ずつ多い者で五人前食べて満足した。兎角だった。
連合の者から見てエウロパの食事の量は少なくフィルドゥシーは乗艦の中でも言った。
「一人前がおやつだな」
「ああ、そうだな」
「エウロパの食事はな」
「あんなに少ないなんてな」
「あっちの四人前が俺達の一人前だ」
「呆れる位に少ないな」
「まして俺達は兵隊だからな」
フィルドゥジーは同僚達に自分達のことも話した。
「持ち場じゃ身体動かさなくてもな」
「ああ、トレーニングしてるからな」
「それも毎日な」
「艦内のジムで汗流してるな」
「そうしてるな」
「だから余計にな」
身体を動かしているというのだ。
「食うな」
「そうだからな」
「余計に食うからな」
「連合市民の中でも」
「そうなってるな」
「だからな」
それでというのだ。
「俺達にとってはな」
「少ないな」
「特に貴族の店は」
「そうだな」
「全くだ、しかも味も薄いな」
今度はこちらの話をした。
「噂通り」
「味しないな」
「素材のよさを活かしたとか言ってても」
「味が薄くて食った気がしないな」
「それも嫌だな」
同僚達とこうした話をした、だが。
エウロパの者達の認識は違っていた、フィルドゥシー達が入ったパブの店の親父は彼等が去った後共に店をやっている自分の妻に非常に忌々し気に言った。
「全く、あいつ等は」
「酷かったね」
「あいつ等が来たらな」
連合軍の者達がというのだ、二人共金髪碧眼で恰幅がいい。
「店の食いものがごそっと減る」
「お酒もね」
「馬みたいに食ってな」
「鯨みたいに飲むね」
「とんでもない連中だ」
「全くだよ、とんでもなく飲んで食って」
「他のお客さんに出せるか不安になる位な」
そこまでというのだ。
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