第二章
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「言うなら街の人間全員だからな」
「ものを巻き上げることだってしてな」
「図々しくて尊大で」
「思いやりもなくてな」
「そんな奴だったからな」
「敵が多過ぎてな」
「それだけ殺した可能性がある奴がいる」
つまみの干し魚を食べつつ話した。
「そうだからな」
「もう誰が疑わしいかわからない」
「しかも殺人に使ったものもわからない」
「あいつは深夜に酔って一人歩いていた時に殴られて死んだ」
「朝死んでいるのが見付かった」
「襲われた現場見てる人もいなかった」
「それじゃあな」
それならとだ、クレイドルに話した。
「本当にな」
「わからないな」
「全くだな」
こう話した、そしてこの事件は迷宮入りとなって次第に人々の記憶からこの事件は忘れられていったが。
数年後急にだった。
以前この街にいて再び赴任してきたオリバー=ストーン小柄でくすんだ金髪と緑の目のひょろりとした外見の兵士が警察に出頭して自分がその事件の被害者トミー=ポーツを殺した犯人だと告白した。
「お前が殺したのか」
「はい、楓の棒で殴って」
ストーンは署長に応えた。
「それで、です」
「殺したのか」
「いつもチビだ痩せ過ぎでみっともないとか」
「言われてか」
「仕事で意地悪もされていて」
それでというのだ。
「怨んでいて」
「殺したのか」
「夜勤の時街を一人で見回っていた時にあいつを見掛けて」
「棒でか」
「周りに誰もいなかったので」
「今だと思ってか」
「こっそり後ろに忍び寄って」
そしてというのだ。
「持っていたその棒で」
「あいつの頭を殴ってか」
「殺しました」
「そうだったのか」
「酷い奴でしたが」
ストーンは俯いて話した。
「やっぱり殺人は殺人で」
「心が痛んでいました」
良心のそれにというのだ。
「それで実は棒をです」
「あいつを殺すのに使ったか」
「それを街の壁の外に突き刺して」
そしてというのだ。
「その棒が若し根付けば」
「その時はか」
「神の思し召しと思い」
「罪を白状せよとか」
「そうしたものだと思っていましたが」
それがというのだ。
「この度またこの街に赴任して」
「その楓がか」
「はい、根付いていたので」
実際にというのだ。
「ですから」
「神の御心に従ってか」
「そしてです」
「出頭してきたか」
「はい、罰を受けよと神は言われています」
ストーンは署長に沈痛な顔で答えた。
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