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リュカ伝の外伝
とあるメイドの追憶
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小娘が出戻る事になったそうだ。

知った事では無い!
本来であれば、そんな他国の事情に我が国が振り回されるのは間違っていると思われるのだが、デール陛下もヘンリー陛下も彼の国には気を使っておられ、最大限協力をする姿勢で国政を行っている。

本当に厄介な小娘である。
居れば居るで迷惑を掛け……居なければ居ないで迷惑極まりない。
コリンズ殿下は何故にあんな小娘を気に入ったのであろうか!?

先程も言ったが、一年程で事態は収束し日常を取り戻した様だが、その割にはあの国の傲慢さは変わらなかった。
これほどまでに我が国が尽力してやったにも関わらず、あの国の王はヘンリー陛下に対して態度を改めない。

私は我慢できずヘンリー陛下にコッソリとその不満を告げた。
だがヘンリー陛下からは『俺もそう言ったんだが、奴からは“文句はアリアハンに言え”って返されてな』と……

何故に新興国家が関係するのか解らない。
しかもアリアハンが建国されたのは、グランバニア王が戻ってきた後だ。
全くの無関係である他国に責任を擦り付けるなど言語道断である!

とは言っても、これ以上ヘンリー陛下に文句を言っても、ただただ困らせるだけである事は理解出来る。
私も馬鹿では無いのだ。
あの小娘の扱い方も慣れてきた事だし、私が大人しくする事で収束させよう。

そう……私が大人しくしてやれば良いのだ。
あの小娘は刺激しないに限る。
ラインハット王家の品位を下げる行いに、何度か激怒はしたモノの……最近は折り合いを付けて過ごしている。

そう……思っていた時期もありました!

あの小娘は遂にやってしまったのだ!
我が国にとって非常におめでたい事に、あの小娘も生物学上の女であった事が証明され、コリンズ様のお子をその胎内に宿したのだ。

これはとてもめでたい事。
誰もがそう思い、私も例外なく喜んだ。
噂は直ぐに国内に広がり、各貴族方からは祝報も届く事多数。

母親の外見だけは極上であるので、お生まれになるお子は美形である事疑いない。
そんな事情を各貴族方にお披露目する為に、多忙な政務の合間を縫って“王太子妃御懐妊祝賀パーティー”を催す事になる。

本来ならもう少しお腹の目立たないタイミングで開催するべきではあるのだが、多忙極まる都合で些か時期が遅れてしまい、それなりに御懐妊が目立つ状態での開催となる。
尤も、御懐妊を祝う為の会であるのだから、それ自体は問題にはならない。

問題になるのは新米母親の性格だ。
何度でも言うが、黙って大人しく会場の置物になっていれば極上のビスクドールであるのだから、お客方の目を楽しませる事は間違いないのに、基本的に大人しく出来ないのが大問題なのだ。

事件はとある有力貴族一家が会場入りしてから巻き起こる。
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