七十五 いつかの居場所
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掛けてやった。
「お姫様抱っこでもしてやろうか」
「そいつは勘弁被るな」
あん時の仕返しだ、と再不斬はにやり、と口角を吊り上げた。
以前、五代目火影につけられた首のチョーカー。
それを外せない、とわざと揶揄った自分への意趣返しをされて、ナルトは肩越しに振り返った。
苦笑する。
沈んでいた夜の街よりもずっと昏く沈んでいた瞳の青がようやく、いつもの輝きを取り戻していた。
暫くして、波風ナルもまた、イルカと共にブランコから遠ざかる。
折しも、ナルトとは真逆の方向へ向かう彼女の後ろで、キ─…キ─…と空しい音を奏でるブランコ。
切なく風に揺れるブランコを中心に、ナルトとナルは共に真逆の方向へ足を進めてゆく。
月下にて、昔から変わらずに其処にあるブランコだけが、切なく風に揺れていた。
「準備は整った」
絹糸のような雨が降り続ける里。
その中でも一際高い塔の上は、この街の頂点であり、玉座でもある。
ただし其処に君臨するのは王ではなく、神を名乗る存在。
三忍である自来也と大蛇丸。
取り逃がしてしまった彼らから受けた痛手は大きく、失った神の何体かを工面しなければならなかった。
その遺体を見繕ったカブトは、とうとう動き出したペインのリーダーを、少し離れた場所で窺っていた。
できうる限りの時間稼ぎは行った。更に小南には、自分と同じく、本物のリーダーである長門の傍で待機してもらうよう、申し出ておいた。
これ以上待たせることはできない。
ナルトへ内心謝罪しながら、表向きはペインに従順に従うふりをする。
そんなカブトが用意した遺体を伴って、彼らは動き出した。
雨雲に遮られ、月明りすら射し込まぬ雨隠れの里。
暗闇に囚われ、夜に沈んだ塔の上で宣言する。
絶え間ない雨音で掻き消えるほどの声だったが、その宣言はやけに大きく響いた。
「これより我らは──九尾狩りに向かう」
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