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豪勢なお弁当
第一章

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                豪勢なお弁当
 高校生の杉山晴香はこの時自分のお弁当を見て母に言った、一六六程の背で黒目がちの切れ長の目で色白で厚めの唇に小さな顔を持っている。細くやや癖のある質の黒髪を肩の長さで切り揃え紺のブレザーと赤のミニスカートとネクタイ、薄いピンクのブラウスの制服からもよくわかる見事なスタイルである。
「うちのお弁当絶対にご飯で」
「真ん中に梅干しよ」
「おかずは色々だけれど」
 その都度変わるがというのだ。
「ご飯でこれは変わらないわね」
「日の丸弁当よ」
 母の沙織娘が四十代になってやや肉が付いた感じの彼女はこう返した。
「もううちはね」
「お弁当はこれね」
「お父さんにもね」
「これで通してるわね」
「これが豪勢だってね」
 その様にというのだ。
「ひいお祖父ちゃんが言ってね」
「田舎の今年九十になる」
「それでなのよ」
「うちはお弁当は絶対になのね」
「おかずはあってもね」
「ご飯で真ん中に梅干しね」
「所謂日の丸弁当にしてるのよ」
「日の丸弁当が豪勢かしら」 
 晴香は首を傾げさせた。
「こんなの別にね」
「豪勢じゃないっていうのね」
「ご飯と梅干は好きだけれど」
 晴香としてはだ。
「別にね」
「豪勢じゃないわね」
「そう思受けれど」
「けれどひいお祖父ちゃんはよ」
「そう言ってるのね」
「これが一番豪勢だってね」
「ひいお祖父ちゃん戦争経験してるし」
 第二次世界大戦、それをというのだ。
「そのせいかしら」
「戦争の間も終わってからも農家はそんなに困ってなかったわよ」
 食べものにはとだ、母は話した。
「別にね」
「じゃあどうしてこれが豪勢なのかしら」
 自分のお弁当を見ながら思うのだった、そしてそのお弁当を鞄に入れて登校した。それで昼になるとその弁当を食べたが。
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