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口裂け女はマスクをしているもの
第二章

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「暴力は振るわないわよ」
「私だってそうよ。この学園に出入りしている妖怪はね」
「悪い妖怪いないから」
「幽霊もね。あんたもしないわね」
「そうよ、しかしマスクを皆付けてると」
 今のご時世でというのだ。
「あたしとしてはね」
「トレードマークの一つが目立たなくなるから」
「少し嫌よね」
「全くよ、仕方ないことでも」
 自分ではというのだ。
「難儀なことよ」
「その気持ちわかるわ」
「あっ、口裂け女さんじゃねえか」 
 ここで高等部からアフリカ系で青いブレザーと黒のズボンに白ブラウスと緑のネクタイの学生が来てこう言った。
「チーース」
「こんにちは。あたし奇麗?」
「ブスだって言ったらどうするんだよ」
「しばくぞコラよ」
 こう学生に返した。
「昨日の巨人みたいにいてこますわよ」
「ああ、昨日巨人中日に二十二対零で負けたな」
「ああした風にするわよ」
「奇麗?で違うって答えればいいんだよな」
「そうよ、美人だって言ったらマスク取るから」
 その時はというのだ。
「わかってるわね」
「ああ、それじゃあな」
「そうよ、ブスって言葉は許さないから」
 学生に笑いながら話した、そして学生にちゃんと帰る様に言ってだった。
 猫又と一緒に学園内の自分の部屋に向かってだ、こんなことを言った。
「じゃあもうすぐ夜だし」
「夜はあたし達妖怪の時間だしね」
「今日は運動会やるから」
「墓場でよね」
「おニューの運動着買ったのよ」
 口裂け女は実に楽しそうに話した。
「上は白の体操服下は黒の膝までの半ズボンのね」
「学校の体操服みたいな感じね」
「そう、動きやすくていいわよ」
「露出もなくて」
「汗もよく吸ってくれるしね」
「それはいいわね」
「じゃあ今から着替えてね」
「運動会楽しむわね」
「それでその時はね」
 口裂け女はさらに言った。
「運動するからマスクはね」
「ちゃんと取るわね」
「あたしも運動の時はね」
「ちゃんとマスク取るわね」
「そうしてるわ」 
 猫又に目を笑わせて話した、そうしてだった。
 口裂け女は着替えて猫又と共に学園の幽霊や妖怪達が催す運動会に参加した、その時はマスクを外していた。だが終わるとすぐにまた付けたのだった。


口裂け女はマスクをしているもの   完


                 2023・8・24
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