ウィザードという名の仮面
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「ハルト!」
真司の声が聞こえた。
動けなくなった可奈美を背負ったハルトは、下山ルートを探して彷徨っていた。
足を止めたハルトは、後ろから走ってくる真司と士の姿を認めた。
「真司に……士……」
「ああ、良かった! 無事だった! 可奈美ちゃんも一緒だったんだな」
真司はハルトと可奈美を交互に見ながら安堵した。
見れば、彼の頭には無数の葉が張り付いており、衣服にも泥や汚れが付いている。徹夜で探してくれたのだろうか。
「真司……心配、かけちゃったかな」
「気にすんな気にすんな!」
真司は笑顔で、ハルトを小突く。
「そりゃ、色々ビックリだったけどよ。俺はお前がいい奴だって知ってるしな。戦いを止めようとしている奴に、悪い奴はいない!」
真司は堂々と言い切る。彼の言葉に救われながら、ハルトは鼻をこする。
「その……ごめんね。今まで隠してて」
「いいっていいって! そんなの、誰だってそうだろ。な?」
真司はそう言って士に同意を求める。
士は表情を動かさず、ハルトを見下ろしている。
「少し、気が晴れたように見えるな?」
士の問いに、ハルトはむずがゆくなった。
「そう……見えるかな?」
「ああ」
士は頷いたまま、ポケットに手を入れた。
「お前……そういえば、仮面ライダーって名前を知らないんだったな」
「そうだけど……」
士は、ハルトへの説明よりも先に真司へ顔を向けた。
「先に城戸真司。お前にとって、仮面ライダーってのは……何だ?」
「俺にとっての仮面ライダー……俺の世界では、仮面ライダーは、このカードデッキを持つ奴の事……ライダーのことだ」
真司はそう言って、カードデッキを取り出す。
「このカードデッキ……俺がいた世界では、この聖杯戦争に似た戦いが……ライダーバトルが行われていたんだ」
「ライダーバトル……?」
その不穏な響きに、ハルトは顔をしかめた。
「たった一つの願いをかけて……ライダー同士で戦う。その戦いに選ばれた奴が、仮面ライダーだ」
「「……!」」
真司のカミングアウトに、ハルトと可奈美は同時に息を呑んだ。
「それって……まさに聖杯戦争みたいじゃないか……!」
「真司さんは、ある意味聖杯戦争の経験者ってこと……!?」
「そう、なるのかな……?」
真司は苦笑しながら答えた。
「真司の場合は若干特異だが……多くの世界で、仮面ライダーは存在する」
「多くの世界で?」
「そう。あえて敵の___悪の力を使ってでも___悪から生まれた炎の十字架の力があろうとも、人類の自由のために戦う。それが仮面ライダーだ」
クロスオブファイアがあろうとも。
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