ウィザードという名の仮面
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へ跳び蹴りを構える。
だが、その動きも、命中するまでの時間もドラゴンには分かっている。
赤く発光する背びれから、その口元にも赤い光が集いだす。
そして、ストライクウィザードと激突する放射熱線。アマダムの強化の恩恵もあって、昨日とは違い、上空で接戦となっている。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」
やがて、その接戦はドラゴンが優勢になっていく。
徐々に押されていくウィザード。やがて放射熱線はストライクウィザードを打ち破り、ウィザードそのものを焼き尽くしていった。
そして、ルビーの指輪だけがその場に残されていた。
「終わったぞ……」
ハルトに戻り、大きく息を付いた。
赤い眼はそのままで、ハルト右手を高く突き上げる。
すると、落ちた指輪たちがハルトの魔力に呼応し、それぞれの光を灯しながら、ハルトの頭上に集まっていく。
「させぬ! ウィザードリングは私のものだァ!」
だが、それに対してアマダムも指輪へ手を伸ばす。
一時的に、ハルトの頭上で動きを止めた指輪たちだったが、それはすぐに、ハルトの手元に収まった。
「な、何!?」
「……」
ハルトは無言のまま、掌に並ぶ四つのウィザードリングを見下ろす。ドラゴンの力を使って回収した指輪たちは、慣れた光でハルトを見返していた。
「俺は……ウィザードは今まで、俺がファントムであることを隠すための仮面でもあった」
緩やかに四つの指輪を握り締めるハルト。
「今まで、ドラゴンの力を使うこともなく、これだけだった。皆にどんな形でも、知られたくなかったから……」
ウィザードリングたちが、太陽の光を反射してハルトに返事をしている。はたして彼らが意思をもっていれば、一体なんて答えるのだろうか。
「でも……」
今度は、ハルトはぎゅっと強く指輪を握り締める。擦り合う音が聞こえながらも、ハルトはゆっくりと、力強く告げた。
「俺は……俺は全てを認めて前に進む! 今まで隠してきた自分も! 背負ってきた罪も! そして何より、俺自身を受け入れる! たとえ怪物だとしても、俺は自分を信じて人間を守る! それが俺の……仮面ライダーウィザードの……just the beginningだ!」
その時。
ハルトは、その手が熱くなるのを感じた。
見下ろし、奪い返した四つの指輪を見下ろす。四色の色に輝くウィザードの指輪。それは光とともに変化していく。
「……!」
ウィザードリングが、ハルトのドラゴンの魔力を吸収している。相反するはずの魔力が、ハルトの手の上で一つに融合し、進化を促しているのだ。
やがて、指輪たちの装飾が金色に彩られ、目の部分が分厚くなって
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