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百キロ先から戻って来た犬
第二章
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 夫の実家からだ、家の中にいたポチが自分達が目を離した隙に脱走して何処かに行ったと聞いた。それで一家は一転して不安に包まれた。
「ポチが脱走したなんて」
「そんなことする子じゃないのに」
「折角迎えに行こうと思ったのに」
 一家で項垂れて話した。
「何処に行ったんだろう」
「心配よね」
「全くだな、捜索願いは出して」
「インターネットでも出しているけれど」
「見付かればいいけれど」
 一家は本当に心配した、それでポチを心配する日々を過ごしていたが。
 ポチを迎えに行くつもりだったその日の朝だった、朝起きると。
「ワンワン!」
「ポチ!?」
 仁勇はその鳴き声を家の玄関で聞いてだった。 
 すぐに家を出た、そのうえで。
 玄関の方に行くとポチがいた、ポチは仁勇を見て尻尾を振って喜んでいた。仁勇はその彼を見て両親を呼んだ。
「お父さんお母さんポチだよ!」
「ポチ!?まさか」
「うちに戻って来たの!?」
 二人は息子の言葉に咄嗟に玄関の方に出た、すると。
 そこにポチがいた、両親は彼の首輪に確かにそう書いてあって連絡先も夫の両親の家のものだったので確信した。
「間違いないな」
「この子はポチね」
「まさか僕達に会いに」
「脱走したの」
「しかし」
 夫は真剣な顔で言った。
「僕の実家から百キロはあるぞ」
「そこを来たの」
「凄いね、僕達に会えるってわかっていたから」  
 一年経ったからだとだ、仁勇もそのことがわかった。
「それでなんだ」
「何て子だ、迎えに行く前に自分から来るなんて」
「それだけ私達と一緒にいたかったの」
「その気持ちに応えないとな」
「これからはね」
「そうだね、けれどポチ駄目だよ」
 仁勇はポチの首を抱き締めつつ彼に言った。
「脱走したら。皆悲しむからね」
「クゥン」
 ポチも申し訳なさそうに鳴いた、その後でだった。
 夫の実家に連絡して家に来たと言った、実家の方もそれで安心し。
 インターネットでもこのことを説明した、こうしてことなきを得た、その後で。
 一家でポチとの幸せな生活に戻った、仁勇は彼と家ではいつも一緒にいつつ両親に笑顔で言うのだった。
「僕達と本当に一緒にいたいから」
「ああ、これからはな」
「何があっても一緒にいましょう」
 両親も笑顔で応えた。
「また一緒に慣れる時になったら自分から来てくれたんだから」
「百キロの道を歩いてな」
「そこまで想ってくれてるのよ」
「僕達も応えないとな」
「そうだね、ポチもうこれからは何があっても一緒だよ」
「ワン」
 ポチは鳴いて応えた、一家はそれからは迂闊に肩代わりになる様なことはしなくなり真面目に生きていった。
 そしてポチと一緒に過ごしていった、彼との生活は何よりも幸せなもの
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