越えられない壁
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受けた俺は思わず倒れそうになったが、それを懸命に堪える。
「幻竜の・・・」
倒れてしまえばそのまま相手は次の一撃を放ってくることは目に見えている。案の定男はすでに反対の拳をかざしており、こちらが危機的状況だったことを理解するのは容易かった。
「咆哮!!」
しかし、向かってきている相手ならば対処法は容易い。広範囲魔法のブレスならばただでさえも狭いこの部屋では逃げることなどできるはずがない。そう思っていた。だが・・・
「!!」
相手の取った行動は俺の予想の斜め上を行っていた。
「がっ!!」
シリルside
グラシアンさんが放ったブレス。それは間違いなくグレイティスさんを飲み込んだはずだった。しかし、彼は回避行動も防御姿勢も取ることなくそれを喰らうと、怯む素振りもみせずにバランスが崩れて倒れそうになっていた彼の顔面へと拳を突き刺し、地面へと叩き付ける。
「なっ・・・」
「強いですよ!!あの人!!」
自らもダメージを受けているはずなのにそれを感じさせないほどの力で一撃を与えた男性に言葉を失うカナさんと目を見開くジュビアさん。彼女たちの言う通りグレイティスさんの力は強い。ただ・・・
「あの感じ・・・どこかで・・・」
どこか見覚えのある動きに思考してしまう。その間にもグレイティスさんの猛攻は留まることを知らず、グラシアンさんは劣勢に追い込まれていた。
第三者side
次々に与えられるダメージ。グラシアンはそれを何とか回避しようとするが、目の前の男はそれを上回る速度で攻撃をしてくるため、対処がままならない。
「お前・・・やっぱり・・・」
その際グラシアンは目の前の敵の正体に気が付いた。だが、それがわかったところで何も意味がなさないこともすぐに気が付いた。
(この状況を打破しない限り意味がない。あれをやるべきか?)
自身の有している奥の手を使うか考えていたグラシアンだったが、このバトルのルールを思い出しそれを出すことはしなかった。
(残り時間はおよそ10秒ほど。それでこいつを仕留めきれるとは思えない。それだとただ情報を周りに見せるだけでメリットがない。ここはやり過ごすことを考えよう)
恐らく勝敗的にも逆転は難しいと判断したグラシアンは一度攻撃を受け流しいずれ回ってくるであろう自身のターンでゴールまで辿り着ければと考え、相手の攻撃を受け止めようとした。
「ぬるい」
しかしそれをこの男は許すことはなかった。
「!!」
見事に敵の拳を捕まえたと思ったその時、グレイティスはそんなことに構うこと
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