越えられない壁
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そう言う風に作ってあるんだからな』
それはゲームの発案者であるカミューニさん。彼は自身の思惑通りになっているからか、非常に楽しそうにしている。それはもうムカつくぐらいの笑顔で。
『正解を解き明かすのも自分、そして周りの奴らの進行状況もわからなければ気持ちは急いていく。そしてその焦りはますます泥沼へと自らを誘うんだ』
その言葉通りになかなか進めずに焦ってしまったのか、グレイさんがまさかの同じ部屋にて連続失敗。頭のいい彼だからこそと言うべきか、思考の沼にハマっているのが見てとれる。
『今現在一番進んでいるのは剣咬の虎のグラシアン選手!!・・・で合ってますか?』
『あぁ。合ってるよ』
一本道というのが救いか、開けた扉の枚数が多ければ多いほど進行できているのは言うまでもない。現在一番進んでいるのはグラシアンさん。彼はすでに11枚の扉を突破しており現在トップ。他の参加者たちが軒並み3、4枚しか進んでいないところを見るとすでにダントツのトップと言っていい。
「このままだとグラシアンが勝つのか?」
「いえ・・・」
少しずつ進む枚数が増えているグラシアンさんを見ると彼は何かを理解したかのように見える。それは恐らく正解の道筋なのだろうと理解するのには時間はかからない。だけど・・・
「ただ進めばいいわけじゃないのが、このゲームですから」
このゲームはただ進んでいくゲームじゃない。そしてそれは気持ちが焦っていればいるほど忘れてしまい、無防備になるトラップがある。
第三者side
扉のドアノブを見つめるグラシアン。彼はそれを見て確信を持ったのか、ニヤリと笑みを浮かべている。
「やっぱりな。これで回答はわかった」
彼はそう言うと扉へと手をかけノブを回す。それは正解だったようでそのまま次の部屋へと進み、また扉を開く。
「ずいぶんと手の込んだやり方をしやがって。危うく騙されるところだった」
迷う様子もなく扉を開け進めていくグラシアン。その表情からはすでにゲームを攻略したという自信が満ち溢れていた。
(二通りっていうのは嘘じゃない。ただ、注目すべきはすべての部屋を通るということ。もしそうなると二方向にしか進めないのではゴールができない。かといってただ適当に二方向・・・この場合は左右だが、それを選んでいたら頭脳戦も何もない。恐らく常に対角線上に同様のルートが出るようなマスを当てはめてのゲームになっているはず)
カミューニの思考を完全に理解したグラシアンは迷うことなく扉を開け進めていく。一人だけ次々と進んでいくその様を見て、観客たちは沸き上がっていた。
「これはグラシアン選手、法則を解き明かしたのか
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