第二章
[8]前話
赤坂は先輩にだ、こう言った。
「素晴らしい人ですね」
「ああ、ああしてな」
「沢山の犬や猫を助けてるんですね」
「これまでもこれからもな」
「あんな人もいるんですね、俺も」
腕を組んで真剣な顔になってだ、彼は言った。
「あんな人になりたいですね」
「そう思うんだな、あの人はご夫婦ででかいお店もやりながらな」
そのうえでというのだ。
「ああしたことしてるんだよ」
「ボランティアで」
「そうなんだよ」
こうした話をした、そして。
その人に感銘を受けた赤坂は生きものを助けられる仕事はないか探した、それで先輩に対して言った。
「ペットショップのです」
「店員になったのか」
「八条ペットの」
「あのペット業界の大手のか」
「あそこはペットの販売も良心的らしくて」
「悪質ブリーダーとかと関りなくてか」
「生きものを大事にするんで」
そうした企業だからだというのだ。
「他のペット用品も売ってまして」
「生きものを助けられるからか」
「そっちに就職が決まりました」
「それで今の仕事辞めるんだな」
「はい、それでペット用品の製造工場が今人手不足で」
赤坂は先輩にこの話もした。
「それでなんですが」
「俺をか」
「どうでしょうか」
「ああ、今の仕事よりずっといいな」
笑顔でだ、先輩は赤坂の申し出に応えた。
「じゃあな、履歴書書くな」
「わかりました」
赤坂も笑顔で応えた、そしてだった。
暫くしてから二人は赤坂の部屋でそれぞれの転職を祝って乾杯した、先輩はその工場に就職が決まり。
二人で今の会社を抜けられたことも喜んだ、そして飲んで食べていたが。
「ニャ〜〜」
「実はあの時拾った猫をです」
「家族にしたんだな」
「ニャン吉っていいます」
その名前も話した。
「やんちゃですけれどいい奴ですよ」
「そうか、そいつと出会ってな」
「先輩に言われてあの人に会って」
「抜けられたな」
「はい、はじまりはこいつからですよ」
自分の膝の上に来たニャン吉の頭を撫でつつ話した。
「あの時会えてよかったです」
「そうだな、そいつはお前の救い主だな」
「本当にそうですね」
「じゃあこれからもな」
「ええ、大事にしていきます」
先輩に笑顔で話した、そのうえでニャン吉も入れて転職を祝い二人の前途の話もした。二人はそれぞれ幸せな人生を歩んでいった、そして赤坂の家にはいつも彼がいたのだった。
ヤクザを辞めたきっかけの猫 完
2023・8・19
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