最終章
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合宿の最終日、私は、午前中の練習の途中、皆より早く合宿所を引き上げていた。みく美に訳を聞かれたけど、「ちょっと 行きたいとこあるからー」と、言うと、それ以上は詳しく聞いてこなかったのだ。彼女のことだから、わかっているんだろうな。
バスに乗って、江原の駅へ。山水と待ち合わせている特急電車に乗り込むつもり。列車がホームに入ってきた時、中の席に山水が手を振っているのが見えた。山水にしては、珍しく笑顔なんだ。私も、嬉しくて、笑顔で手を振って、応えていた。なんだか、小さな幸せを感じた瞬間だった。
私は、家の人にウソをついて、合宿の1日を誤魔化していた。山水とお泊りするつもりだった。そして、私のすべて・・・山水にと・・覚悟していた。テニスの練習に明け暮れていた私に、ひとつの区切りをつけようと思っていたのだ。
温泉で有名な城崎で乗り換えて、一つ先の駅。お昼前後に着いて、近くの定食屋さんで、地元のアジのフライ定食というのを食べて、ホテルに向かったんだけど、丁度、部屋に入れると言うので・・・和室だったけど、窓からは海が見渡せる。私、そんなの 初めてなのかも知れない。心が躍ったまま、海水浴場は眼の前なのだ。そして、私は「こっち 見ないでよー」と、お互い背を向けて着替えて、海に向かった。
ホテルで山水は大きな浮き輪を借りてくれて、海に入っている時、私達は、お互いの身体が触れ合っていても、ごく普通にじゃれ合っていたのだ。そして、夕食の後、お互い、大浴場に行って、浴衣に着替えて、山水は夜の海岸に散歩に誘ってくれた。何組かが、手持ち花火をしているのを眺めながら・・・私は、山水の腕をとって歩いていて、幸せを感じていた。暗がりに来た時、山水は私を抱き寄せて、唇を・・・これまでに無い、安息の時間だった。この幸せを感じる甘〜い 感じ。私は、自分からも、山水の舌に応えて絡ませていた。
部屋に戻ると布団が並んで敷いてあった。当たり前のことだよねと思いながら、窓際に二人並んで座って、山水に寄りかかって、海を眺めていて
「山水 ありがとうね あの時 ウチ 人生 最悪って思ってた だけど 山水達が居てくれて・・」
「うーん なんの話? 山葵はいつも 僕の中に居たよ 変わらない 昔から」
どれぐらい時間が過ぎただろうか 私は、決心して、トイレに行って、ブラだけをはずして、そして、浴衣の下には、この時の為に、レースのフリルで縁取られた白いショーツだけ。部屋に戻って、灯りを消した。
「山水 ウチを抱いて・・・ だけど・・ズルズルは嫌よ 来年 山水が大学 受かって それでも ウチでも ええんやったら その時には また・・・」 部屋の中は、月が海に反射して差し込む灯りだけだった。私は、布団に横たわるように・・・
「山葵 ずーと 一緒だよ 昔
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