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王道を走れば:幻想にて
第四章、その4の2:エルフの長
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えているようですぞ。何せ彼らが運ぶのですから、他の誰も中を検める心配はありませんからな。・・・如何思われますか、王女様?」
「如何も何も・・・素晴らしい事だと思います。出立の準備が出来ましたら私に声を掛けるよう二人に言っておいて下さい。渡すものがあると」
「承知致しました」

 王女はソーサー付のカップを侍女に渡すと、小さく綺麗な礼をしてハボックに別れを告げて宮廷へと戻っていく。ハボックも王女の背中が去っていくのを眺めていき、そして踵を返して己の居るべき場所へと向かっていった。芋虫は枝を伝い、今は花弁に口を付けているようであった。



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 優しき木漏れ日の中、慧卓ら一行は緑の絨毯を踏みしめていく。馬車の車輪では感じられぬ土の柔らかさと硬さ、重なった葉の厚み。気温も温かなもので、毛皮の服も要らないのが心地良い。近衛騎士の白いマント、騎士の茶のロープが絨毯を掠めている。針葉樹の細長い体が数えられぬほど空へと伸びて、枝葉はまるで階段のように段を重ねて繁っていた。陽射に照らされながらリスが木の実を探し回っているのを、パウリナは好奇の瞳で見詰めている。
 
「・・・タウン、というよりもうヴィレッジだな、これは」

 慧卓は一人そう呟き、足を踏み入れたその場所をそう呼称する。高床式の古めかしい木造の住居が木々の合間に建ち、物によっては小さなツリーハウスも建っているようだ。梯子やロープの類が掛けられていないのは、「木を登ればいいじゃない」の論理が罷り通っている事に他ならない。住居を守るための柵は無く、とても開放的な印象を受けるものであった。今は昼時を間近に控えているため、炊事の煙が彼方此方から炊かれている。
 そのためか、慧卓らが見かけるエルフというのは子供であったり、或いは若い男が多かった。細長耳の者達はゆったりとした地味目のロープと脚絆を着用し、ひそひそと顔を合わせて慧卓らを窺っている。馴れ合おうという気は感じられず、排他的な色を出している。一方で子供と言うのは純粋であり、まるで面白い虫を見るかのように好奇に満ち満ちた目をしている。ある者は年長者の窘めも聞かず、パウリナと好奇の睨めっこすらする始末であった。

「おい、さっさと行くぞ」
「あ、はーい。じゃまたねー」
「・・・ばいばい」

 可憐な返事に可憐な笑みで返し、パウリナは列へと戻っていく。慧卓が通り過ぎるツリーハウスを仰ぎながら呟いた。

「よくこんな場所に住めるよな」
「ケイタクさん、本人達の前で言ってはなりませんよ?」
「重々承知しています。俺はあくまでも脇役ですから。・・・いやぁ、アリッサさんが心配だ」
「大丈夫ですよ。あの件以降、心が落ち着いていられる様子。イヤミや皮肉一つ言われたところで如
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