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リュカ伝の外伝
第一節:「ぼくらのオープンコード」
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のギターとベースは特別でね。開発してくれた女の子の彼氏が宮廷画家でさ。お披露目するに当たって描いてくれたんだ」
宮廷画家の事は聞いた事がある……演奏会でイチャつくカップルとしてイジられてた二人だ。
良いなぁ……

「あの陛下。先程までずっと聞こえてた演奏は、陛下が奏でられてたのですか?」
俺の直ぐ後に入って来た女の子が、俺の所為で演奏を中止してしまった先程の曲の事を尋ねる。
余談だが、この女の子は凄く可愛い。

「あ、うるさかった? ゴメンね。チューニングだけのつもりだったんだけど、弄ってたらノってきちゃって(笑)」
「い、いえ! 全然うるさくなかったです。激しくて格好いい曲だったから、曲名は何かなと思いまして!」
確かに格好良かった……でも俺は陛下とMG(マジカルギター)の格好良さに気を取られてた。

「うん。先刻(さっき)の曲は“パイプライン”って言うんだ。取り敢えず今回みんなに練習して貰う曲は演奏会でも奏でた“夜に駆ける”だけど、習得できたら随時レクチャーするよ」
良いなぁ……俺には課題曲を憶えるのだけで精一杯だろうから、そっちにまで手が回らない。

質問をした女の子は両方とも憶えられるだろうなぁ。
彼女の名前はエミー・ヘンドリクス。結構な有名人だ。
見た目がフワッとした感じの可愛らしい女の子なんだけど、専行してる楽器はギター……所謂アコーステック・ギター……で、腕前はかなりのもの。

しかも演奏が始まると人が変わったかの様にスタイリッシュになり、テクニカルで格好いい美女に変貌する。
そのギャップで下級生女子から告白されるくらいだ。
以前は同性愛者ではと疑われた事があったが、現在は彼氏がいる。

しかもその彼氏は、ベース……所謂アコーステック・ベース……を専行していて、今回の授業にも当選しているんだ。
彼氏の名はジャコパ・ストリアル。カップルで新楽器の授業に当選した。
羨ましい限りである!

「さて……じゃぁ全員揃ったみたいなので、ちょっと早いけども始めちゃって良いかい?」
全く問題無い……ってか反対する者は居ないだろう。
それに『ちょっと早い』と言っても5分程だ。

「反対する子もいないし始めます。先ずは自己紹介からだね。僕はリュカ。リュケイロム・グランバニア。済し崩し的に王様やってます。今回は皆に色々教えるから“先生”って呼んでね」
「よろしくお願い致します、リュカ先生!」「「「よ、よろしくお願い致します!!」」」

短いながら陛下……いや先生の自己紹介が終わり俺等の事を見渡したので、生徒の一人が元気よく挨拶をした。
俺等もそれに釣られ慌てて挨拶をする。
ビックリしたが、ぼーっとしてた俺等が悪い。

「おぉぅ、元気良いな(笑) じゃぁ引き続き皆の自己紹介もお願いしよう。
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