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リュカ伝の外伝
アーティストとエンジニア:五限目『国家として』
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め込まれては、組織的な抵抗も出来ずに力無き国民が犠牲になる。それをさせない為に心ならずも武装強化を遂行したに過ぎません。そうなった原因を作っておいて、国民を守る事を許さないとは……以後は“神”と名乗るのを止めて“魔王”と名乗って下さい。名前負けも甚だしい!」

「あ、あれは仕方なかったのだ! 大勢の人々を邪悪なる者の手から守る為に、急ぎ其方の父上の力が必要になったのだ!」
「何を言うかと思えば……まるで私が邪の者を滅する事に反対している様な言い方ですわね。不愉快ですわ!」

「では分かってもらえるよな?」
「分かってないのは貴方です。邪を滅するのであれば“正義の味方”・“天空の勇者”そんな風に呼ばれている男を送り込めば良かったでしょうに! でも貴方は伝説の勇者様を送らなかった……代わりに彼の父親を送り込んだ。何故ならば、大変危険な冒険になる事は予想していたし、命を落とす事も考えていたから。我々の世界の勇者様が、伝説の武具と共に帰らぬ者になっては拙い。そう考えて帰らなくてもよい……寧ろ帰らないで欲しい人間を犠牲にしたのです! その証拠こそまさに今回の議題である事件……ティミーの命を救う為に天空の剣を即座に送らなかった事に繋がるわけですからね!」

「そ、そんな事はない! な、何故なら私は知っていたから。リュカが生きて帰ってくる事を太古より知っていたのだ! あの件で生きて帰って来て、後にこの世界の過去に行き悪を滅する事を私は知っていた。だから……」

「過去の世界に行くのは、何も帰って来てからとは限りませんよね? 異世界で事件に巻き込まれ、この世界の過去に現れるって可能性もあったではないですか!? そしてその過去にはティミーと天空の剣は現れなかった……この世界から伝説の武具が無くなる事を恐れたのですよ! だから父の命も、愛しき兄上の命も蔑ろにしたのです! さぁ贖罪を!」

恐喝だ。
これは紛れもなく恐喝である。
覚悟はしていたが、結婚後は尻に敷かれよう。





暫くの口論後……
遂にマスタードラゴン様が折れて、グランバニア王国とリューナ個人の要求を受け入れてくれた。
だがこの血筋の恐怖はまだ続く。

帰り際、アリアハンの人々が周囲に居なくなったタイミングで、宰相閣下がリューナに尋ねる。
「良いのか? 勝手に姉妹代表としてマスドラからの贖罪を受け取っちまって? 他の姉妹が怒るぞ」

「早い者勝ちです。それに気付きもしないでしょう」
「まぁ……ポピー姐さんくらいかな、気付くとして」
「じゃぁ問題無いでしょう」
「末子が気付かなきゃな」

末子?
つまり末っ子って事だな。
そうか……まだ陛下のお子さんは大勢居るんだな。

「それに……」
「『それに』?」
それに何だ?

「ティミ
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