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ハドラーちゃんの強くてニューゲーム
第4話
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、ハドラーちゃんは聖母の様な微笑みを浮かべながら訊ねた。
「覇者の剣とこの国の国民全員の命、どっちを残して欲しい?」
「へっ?」
シナナ国王は目が点になった。

ハドラーちゃんの予想通り、ロモス王国に覇者の剣が保管されていた。ハドラーちゃんの右腕に内蔵されている筈の覇者の剣がである。
これこそ、俗に言う『強くてニューゲーム』の妙である。
つまり、ハドラーちゃんが1周目(ぜんかい)から覇者の剣を持ち出した事で、2周目(このせかい)には覇者の剣が2本もある状態になってしまったのだ。
そして、図らずも2本に増えた覇者の剣を持ってハドラーちゃんが向かったのは、かつて魔界最高の武器職人だった男が地上で暮らす時に使っている小屋。
「貴様がロン・ベルクだな?」
「……」
「この剣の砥ぎ直しを依頼したい。この剣はオリハルコンで出来―――」
「帰れ。俺はもう2度と気合いを入れて武器を作る事は無い」
あからさまな拒絶反応に少しだけ引くハドラーちゃん。
「オリハルコンで作られた剣でも駄目なのか?」
「俺の興味は、自分の作った武器がどれだけの威力を発揮してくれるかだけだ。ところがどうだ?最近はろくな使い手がいない。どんな強力な武器も持ち主がバカじゃ飾りみたいなもんよ。その辺に転がっている剣、飲み代稼ぎに作った物だが並みよりはマシだ。くれてやるから持って帰れ」
短気な客なら、この段階で既にロンと取っ組み合いの喧嘩を始めている頃だろうが、事前にロンが頑固な職人気質だと聞いていたハドラーちゃんは、そう簡単にロンの首を縦に振らせる心算は無かった。
故に、ハドラーちゃんの暴力の犠牲者はロンではなく……
「この俺を殺そうとしている輩にくれてやる武器を、こんな酒の肴にすらならぬ駄作で済ませよとは、舐められたものだな!」
ハドラーちゃんはそう言うと、部屋に有る剣を次々と叩き壊した。
「こんな気合いの1画目すら無い駄作で俺の頚を斬ろうとは、笑止!片腹痛いわ!」
少しだけ暴れたハドラーちゃんは、この小屋に入る直前に小屋から出て来た先客の存在を思い出し、大急ぎでその先客を連れ戻した。
「貴様も貴様だ!ここまで馬鹿にされ、駄作の引き取りを強要され、おめおめ逃げ帰るとは、貴様はそれでも戦闘に身を置く者か!?」
「何なんだアンタ!?何様の心算だ!?」
剣身を素手で握り潰すハドラーちゃんを見て怯える先客に反し、ロンは酒を飲みながら無言を貫いた。
「ピエェーーー!?普通逆だろぉー!」
「……」
ここまで侮辱(やって)も乗って来ないロンに対し、ハドラーちゃんはトドメの一言を口にする。
「そんな事だからロン、何時まで経っても貴様は真魔剛竜剣に勝てんのだ」
ピク。
ハドラーちゃんは、ロンの瞼が一瞬だけ微動したのを見逃さなかった。
(やはりな。どんなに頑
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