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ハドラーちゃんの強くてニューゲーム
第4話
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地上に暮らす人間達は、ある事実を知らないでいた……それは、地上支配を目論む侵略者の実際の数である。
つまり、ハドラーやバーンの様な歴史の表舞台に到達した侵略者は、実際はほんの一握りに過ぎないと言う事である。
戦いの中で力尽きる、不慮の事故に遭う、戦力が思った程集まらない、悪運が尽きるなど、様々な理由によって地上侵略を諦める事を余儀なくされ、侵略者から侵略未遂者へと降格して表舞台に辿り着く前に全てが終わってしまう事も珍しくないのだ。大魔王バーンと魔界を二分する実力者である筈の冥竜王ヴェルザーですら、現時点で現存する竜の騎士(ドラゴンのきし)バランに目を付けられてしまい、未だに歴史の表舞台に達しない有様である。

魔界某所の洞窟で複数のドラキーを従えるこの男もまた、そんな侵略未遂者止まりの男である。だが、それはあくまで1周目(ぜんかい)までの話であり、ハドラーちゃんがカール王国に大魔王バーンの存在と野望を暴露した影響によって、この野望多き男の命運も変わり始めていたのだ。
「……そうか……7か所まで絞れたか……」
どうやら、この男もハドラーちゃん同様、大魔王バーンの居場所を探している様子である。だが、
「この私に大魔王バーンの存在を教えてくれた功績は評価するが、使い方を間違えている様ではまだまだ知略無き愚かな小娘だな」
バーンを探す理由はハドラーちゃんと真逆であった。
「こういう強大な後ろ盾をどう巧く利用出来るか、それが真の知恵者の戦いよ」
どうやらこの男、ハドラーちゃんと同様に地上消滅計画に対するバーンの本気度を診誤った様である。
だからこそ、この男はバーンを倒すべき仇敵ではなく、膨大過ぎる利用価値を有する後ろ盾として利用すると言う考えに至ってしまったのである。
「これで決まりだハドラー……地上は遂に私の物になると約束されたのだ」
何も知らぬまま、この男の野望が動き出す。2周目(こんど)こそ、侵略未遂者止まりで終わらぬ様に。
「では……私のスケジュールの作り直しを始めるか……私がバーンに謁見する為に……」

その頃ハドラーちゃんは、
「……ウ……グッハァ!またしてもザボエラの顔が浮かびやがった!俺はただ、サババでの再戦までの俺の足取りを思い出そうとしただけなのに!」
自分のスケジュールの構造に悩んでいた。
ヨミカイン魔導図書館で破邪の洞窟の存在を知ったハドラーちゃんは、サババでの再戦を終えてから破邪の洞窟の攻略を始めようと地底魔城に戻ったのだが、サババでの再戦までの間に1周目(ぜんかい)の自分が何をしていたのかを思い出そうとしたのだが……
「……ウ……グッハァ!またザボエラが出て来おった!」
1周目(ぜんかい)のサババでの再戦までのハドラーの行動を思い出そうとする度に、ザボエラの顔が脳裏に浮かんでしまうのだ。

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