お誕生日おめでとう
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それに対し、ドラゴンは急降下。
その鉤爪が、強く地面を打ち付ける。
すると、ドラゴンの体が一瞬で地中へ消える。地面を大きく抉るものの、地中深くのドラゴンには届かない。
「避けられた……!」
その事実を受け入れるよりも早く、地中のドラゴンは飛び出す。地面から一気に急上昇、可奈美の背後に飛び上がる。
「速っ……!」
「はあ!」
ドラゴンは体を大きく回転。
巨大な尾に強く打ち付けられ、可奈美は地面に墜落。地面に接触した途端、頭上より熱線の追撃が襲う。
「くっ……!」
体をバウンドさせた可奈美は、バク転して一度退避する。丁度可奈美の足場だったところに、ドラゴンの熱線が連射されていく。
溶けだした地表を見下ろしながら、可奈美はドラゴンの様子を窺う。
「凄い威力……!」
「降参するなら今のうちだよ?」
「まさか。ハルトさんこそ、私のスピードに着いてこれる?」
可奈美はそう言って、その異常なまでの加速を見せつけた。
刀使が御刀より行使する、別次元の速度移動、迅位。さらに、今度は祭祀礼装の助力による加速も加えていく。
それは、ドラゴンの眼には捉えられないだろう。
可奈美は幾度となく斬撃を積み重ねていき、その体にダメージを重ねていく。
「ぐっ……!」
ドラゴンが呻く。可奈美の斬撃が命中するたびにその体からは火花が散っている。
だが。
「……があああああああああああああああああああああっ!」
「うわあああ!?」
ドラゴンの全身から迸る赤い波動。
それは、可奈美を吹き飛ばし、木々を薙ぎ倒す。
「まだまだっ!」
可奈美が起き上がるよりも先に、ドラゴンが両手を地面に押し当てる。
すると、全身が途端に重くなる。
重力が、可奈美の頭上からのしかかって来たのだ。
「うっ……!? これは……ウィザードの魔法と同じ……!?」
あまりの重量に、可奈美はバランスを崩し、ドラゴンと変わらない時間流に突き出される。
「うっ……!?」
動けない。
その間に、ドラゴンはその右足を強く地面に突き刺した。
「な、何!?」
あたかもアンカーのように、その体を支える右足。
さらに、左足もまた同じように地面に深く突き刺さっていく。
その雄々しい尾を地面に叩きつけたドラゴンは、ゆっくりとその体を直立させた。
その背筋が、赤く染まっていく。
もう見慣れた、赤い放射熱線。
だが、その勢いが明らかにこれまでと異なっている。
「あれは……」
可奈美は言葉を失う。
ドラゴンの口に集まっていく、赤い光。その濃度は今までより濃く、時間をかけるたびに燃え上がっていく周囲に、その威力が嫌でも分かって
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