お誕生日おめでとう
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れていた木陰が粉々となり、クレーターが出来上がる。
相手の攻撃を受けて返す、新陰流は通じない。
そう判断した可奈美は、両足を揃えて飛び上がる。ドラゴンの光線を旋回しながら回避し、徐々にドラゴンへ接近。
あっという間に懐に飛び込んだ可奈美は、千鳥を振り抜く。
「やあっ!」
彼女の剣に対し、ドラゴンは両手で盾を作る。
剣と爪が、大きな音を響かせ、そのまま鍔迫り合いとなる。
その中、可奈美はドラゴンの顔を___その眼を見つめた。
赤い、ドラゴンの眼。
震えながらも、しっかりと可奈美を見返すその眼の奥に、可奈美は何か湧き上がるものを感じた。
「ハルトさん……」
可奈美は目を細める。
赤いドラゴンの眼に映る自分の姿。
果たして彼は、今までどんな気持ちで可奈美たちと接してきたのだろうか。
皆で楽しく談笑しているときも。本当は苦しんでいたのだろうか。
可奈美はドラゴンの手首を掴み、それを軸に体を回転させる。
ドラゴンの頭上に上がり、右手に持った千鳥を大きく伸ばす。
「太阿之剣!」
深紅の刃が、ドラゴンの頭上から下される。
ドラゴンは全身に大きく火花を散らしながらも、その大きな翼をはためかせ、体勢を保つ。
「はああ……!」
ドラゴンの口から、絞り出るような声が聞こえてくる。
すると、足場から突然の熱さが突き刺さってくる。
可奈美は足を滑らせ、一瞬転落。すぐさまバランスを建て直し、ドラゴンの目の前で浮遊する。
「っ!」
目の前で、ドラゴンが大きく口を開けている。
口の中、彼の体内に通じる喉には、眩い炎が発生している。
可奈美は体を捻って、上下を入れかえる。ドラゴンの顎を蹴り上げ、無理矢理それを閉ざす。
吐き出されるはずだった炎は、細く伸び、彼の体内を焼き焦がしていく。
「ぐっ……!」
「意外と自分の攻撃でも、効くものなんだね!」
「そりゃ、普段これだけの量浴びることないから……ねっ!」
振り下ろされる鉤爪。
可奈美はそれを紙一重で避け、千鳥で反撃。
数回の激突ののち、可奈美はドラゴンから離れる。滞空したまま、可奈美はドラゴンの移動と並行していく。
途中、空中で何度も衝突を繰り返す。千鳥と爪、牙、尾、炎が昼の世界に星を作り上げる。
可奈美は途中、急停止。頭上へと急上昇し、千鳥を掲げた。
するとその剣に、虹色の光が集っていく。
これは、本気の勝負。
だからこそ、可奈美も本気で臨まなければならない。それがかつて、見滝原の地下に眠る怪物を倒した技でも、容赦なく使う。
「無双神鳴斬!」
体を捻りながら、可奈美が千鳥を振る。
すると、弧を描きながら、可奈美の斬撃がドラゴンへ飛んで行く。
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