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Fate/WizarDragonknight
本気の勝負
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悟していたものの、可奈美は腹の底で何かが蠢くのを感じた。

「……やっぱり、すごいな。こんなこと、誰かに言うの、すっごいビクビクしてる」

 ハルトはそう独白した。
 見れば、彼の足は短く震えており、言葉を一つ一つ口にするのさえ遅かった。

「俺……さ。今度みんなと会った時、言おうって……自分がファントムだってちゃんと言おうとしてたんだけど、やっぱダメだな。どうしても……隠したいよ」

 前回見たのはいつのことだったろうか?
 ハルトが、苦しんでいる。泣いている。
 いつも飄々としていて、余裕を示すハルトが、言葉一つ一つを絞り出そうとしているように見える。

「……うん」

 相槌を打つ以外の対応が思いつかない。
 ハルトは、決して可奈美と目を合わせない。そんな彼へ、ハルトは少しずつ近づいていった。

「俺は、今の自分を許せない。人の命を奪った自分が。松菜ハルトって名前の子供を殺して、のうのうと生きている自分が」
「……初めて。かな」

 ハルトの右肩に、可奈美は同じく右肩を当てる。
 お互いに反対方向を向きながら、ただ右肩だけが、お互いの温もりを感じていた。

「ハルトさんが、自分のことを教えてくれたの」
「そう、だね」

 ハルトは頷いた。
 可奈美は目を細めながら、両腕でハルトの右腕に触れる。

「それじゃあ、ファントムのハルトさん……でも、今まで沢山のファントムと出会ってきたけど、ハルトさんは全然、他のファントムと違うよね」
「何も変わらない。俺も、俺以外のファントムも……」

 ハルトの声が震えていく。

「ファントムは、人の絶望から、宿主の人間を食らって生まれてくる……希望を持って生きる人を見るだけで、俺は苦しくなった。家族も、友達や恋人も……! 俺が大道芸を始めたのも、人々に一瞬でも笑って欲しいからだよ」
「……」

 今まで、可奈美は何度も、ハルトの芸を見てきた。
 その最中、人々は笑顔になり、希望を感じた時もあった。
 その時、果たしてどれだけの不快感が彼を襲ったのだろう。
 そしてそれは、彼がファントムであるという他ならない証拠でもある。そしてそれを、可奈美……否、誰も一度もそれを感じなかった。

「そこも、ハルトさんがファントムって事実に関係しているんだね。多分……これ以上、私が何を言っても、ハルトさんの心は晴れないと思う」

 可奈美はぼそりと呟いた。

「でもさ。全部、私が知ってるハルトさんだよ」

 一瞬、ハルトと可奈美の間に沈黙が流れる。
 可奈美は、体を動かして、ハルトから離れる。元いた、坂の下へ向けて歩き出していった。

「一緒にラビットハウスで暮らす日々も、本当に楽しかった。これはきっと、本物の松菜ハルト君じゃない。今私
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