本気の勝負
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たんだ。ハルトさんが、私たちに何か隠してるのも、何となく分かってた。けどそれでも……それでも、肝心なことは何も分からなかった」
「……」
ハルトも、可奈美の視線を追って空を見上げる。
眩い太陽に手を掲げているが、彼が太陽を見つめる赤い眼は、全く細まることはなかった。
「昔……俺は……松菜ハルトっていう人間は、家で起こった火事で生き残った。多分、両親が助けたんだと思う」
「……」
ハルトが自らの手の甲を見下ろした。令呪が刻まれた右手。そして、その先の指。これまではウィザードリングがあったそこには、今はもう何もない。
「焼け残った家。それに、助からない妹の姿を見て。それで、松菜ハルトは絶望して、俺というファントムを生み出して、その命を落とした。それで、俺の姿を見た妹は、俺を拒絶しながら死んでいった」
ハルトは目を閉じる。
___お兄ちゃんはどこ!? お兄ちゃんを返して!___
「今でも思い出すよ。焼けた瓦礫に、埋まった妹。兄かと思ったら、怪物になってしまった俺を見て拒絶した彼女を。そして、そのまま絶望しながら死んじゃった妹のことも。そして何より……」
ハルトは、自らの腕を掴んだ。
「その絶望が、たまらなく心地良いと感じてしまった自分の本性を」
「……」
「たった一人で俺は、ファントムを倒すファントムとして、旅を続けてきた。そして……」
ハルトは腰をさする。昨日までウィザードライバーがあったそこには、今はただの革製のベルトしかない。
「この力をもらったんだ。あの時俺にこれを渡した男性のことは、今でもどこの誰なのか分からない。そのまま、旅を続けて……今に至る」
「そうなんだ……」
可奈美はじっと皮のベルトを見つめる。ウィザードライバーの唯一の名残は、その手の形をしたバックルだけだった。
「ハルトさん、妹いたんだ。あ、もしかして、私に結構似てたりとか?」
「まさか。全然似てないよ。妹___コヨミっていうんだけど、どちらかというと、大人しい子だったから。可奈美ちゃんみたいに、元気に走り回るなんてことしなかったし」
「そ、そうなんだ……そこは似てるって言って欲しかったな」
可奈美は苦笑した。
数秒経ってから、可奈美はまた切り出した。
「ハルトさんは、さ。後悔しているの? ファントムになったこと」
「……」
ハルトは首を振った。
「ファントムが、人間の心を持ったままファントムになるなんてありえない。ドラゴンってファントムがこの世に現れた時点で、松菜ハルトは死んだ」
ハルトは、そのまま右腕を掴んだ。
「俺は……松菜ハルトじゃない。俺は、ドラゴン。ファントム、ドラゴンだ」
その事実。
ある程度は覚
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