第3部
ルザミ
ただ一人の罪人
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不明となり、もちろん剣の行方もわからないが、彼の故郷がサマンオサならば、もしかしたらそこに行けば何か手掛かりがあるかもしれない。
「ジパングでパープルオーブの情報を得たあと、サマンオサに向かってみるか」
ユウリも私と同じことを考えていたようで、すぐに次の目的地を決めた。
するとセグワイアさんが、心配そうに口を挟んできた。
「サマンオサに行くなら気をつけな。あの辺の海域は波が高く潮も読めない。おまけに停泊できる港も少ないし、大陸の大半は周りを切り立った崖で覆われている。下手に上陸しようものなら波に流されて一発であの世行きになっちまうよ」
「じゃあ、どうやって行けばいいんですか?」
「初めてサマンオサに行くなら、ロマリアが管理している関所内に、サマンオサに通じる旅の扉がある。そこで旅の扉の通行許可を得たら、通れるようになるさ」
「随分と面倒なんだな」
思わぬ長旅になりそうな事態に、深くため息をつくユウリ。最後の鍵を手に入れた工程を思い返すと、今回の冒険も一筋縄ではいかなそうだ。
「なんだかわからんが……、役には立ったかい?」
「はい!! いろいろと教えてくれてありがとうございます!」
私が笑顔でお礼を言うと、セグワイアさんはそうか、と顔を綻ばせ、そのまま去っていった。その表情はかつて罪を犯したとは到底思えないほど、穏やかそうに見えた。
「……結局フィオナさんやミオちんの言うとおり、ただの取り越し苦労だったみたいだね? ユウリちゃん」
皮肉めいた声で言い放つシーラに、ユウリはふん、とそっぽを向くだけだった。
その後、空も暗くなりかけたころ、私たちはフィオナさんに別れの挨拶をすべく、再び彼女の家を訪れていた。
「世話になったな。またこのサルが寂しそうにしていたらここに来る」
「おいこら陰険勇者!! てめえがカニ取り勝負に負けたこと、島の全員に言いふらしてもいいんだからな!!」
「別にどうでもいい」
ユウリとナギの小競り合いに苦笑しつつも、フィオナさんは少し寂しそうな顔で二人を眺めていた。
「こちらこそ来てくれてありがとう。私も久々に息子と過ごすことができて、とても幸せだったよ。できることなら、ずっとこのままいてもよかったんだけどね」
その言葉が本気か冗談かわからなかったが、フィオナさんの瞳にナギの姿が滲んで映し出されていたのを、私は見逃さなかった。
するとナギがフィオナさんの前に立つと、俯き気味に口を開いた。
「もし魔王を倒したら……また会いに来る。……母さん」
「!!」
ぶっきらぼうなナギの言葉に、フィオナさんは今まで見たこともないほどの笑顔を見せた。
「はは、別に魔王を倒した後でなくてもいいだろ。またいつでも遊びに来てくれ、ナギ」
フィオナさんが笑うと、ナギはどこか気まずそうに
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