第一部
第四章 いつだって、道はある。
ユナト
[3/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
かお前!!」
「うん。ハッカを利用させてもらった」
さらりと言い放ったユナトに、ガイは一瞬言葉を失う。ついで口から飛び出たのは糾弾の言葉だ。
「お前、チームメイトを利用したのかッ!? 下手したら死んでいたかもしれないのに!! 聞いた話じゃ、あの二人はあの集団と戦闘するに至ったという話じゃないか!」
「チームメイトだったのは昔のことだよ。ハッカがあんなセンチメンタルな奴じゃなかったら今日こうやって私に利用されることもなかったのに」
「……お前、先生の死に様も、ハッカがどんな拷問をされていたかも知っているはずなのに」
「拷問だとか先生の死に様だとかそんなの理由にならないよ。わたし、三代目のことは尊敬していたけれど、彼のやり方には反対。彼は優しすぎる。使えるものは敵でも味方でも利用しないと上にはのし上がれないよ」
数年前からユナトは、妙に地位に執着するようになってきていることにガイは気づいていた。ただでさえハッカとのあの事件でユナトは大きく変わってしまったのに、彼女は数年前から更に地位への強い執着を見せ始めるようになっていた。そしてその理由が何なのかも大体見当がつく。けど……こんなことは。仲間を利用するなんてことを彼女がするなんて。
「じゃあ……マナは。どうしてマナを派遣した?」
「殺すためだよ。あの戦闘で死んでくれればいいと思ってた。狐者異なんてただの気の違った妖集団。滅んじゃえばいい。その方がいいんだ――里にも」
がっ、とガイの拳が正確にユナトを捉えた。吹っ飛んだユナトが水面を転がる。口の中を切ったのだろうか、彼女が血を吐き出した。水しぶきがあがり、ユナトがこげ茶色の瞳でガイを見つめる。
「お前……自分が何を言ってるのかわかっているのかッ!?」
「わかってる。このことを言いふらしたいなら好きにすればいい。カカシだとか綱手さまだとか自来也さまだとかは別だけど、一般の忍者はガイのこと窘めるだけだよ。『忍者とは、そういうものなんだよ』……ってね」
その上、この里の中で行われる会話で、ユナトに聴こえないことなど一つもない。例え紙に書いたりしようとしても、息を呑む音ですらちゃんと聴こえるユナトにとって、もし不自然な沈黙を感じ取ればすぐさま時空間忍術で駆けつけ、その上記憶を消すことなど彼女にとっては造作もないことだ。
剛拳と時空間忍術で名をあげたユナトだが、それ以上にユナトが重宝される理由は彼女のその能力だ。時空間忍術がなければ、錘をつけた状態で本気を出したリーほども速く移動できない彼女がここまでも大切にされ、忍びを辞めた今でも上層部の多くの秘密を知りえることの出来るその一番の理由が彼女のこの能力だ。情報収集はもちろん、感知にも応用出来るこの血継限界を、里の上層部はかなり重く見ているのだ。
そしてまた彼
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ